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マハロ / PIXTA(ピクスタ)

キラキラネームよりも大変? 名字が珍しくて子どもがいじめに…変更は可能か

珍しい名字のせいで子どもがいじめられている。名字を変えることはできないか? 弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある女性が相談を寄せました。

女性の名字は「蛇口」といい、読み方は「へびぐち」。「子どもが、名字のせいか、いじめにあい、病院などでは『じゃくちさん』と言われたり嫌な思いをしています」という理由で、名字を変更したいと考えているようです。

最近では、奇抜な「キラキラネーム」を改名したいという声は聞かれるようになりましたが、名前ではなく名字も、いじめられている、恥ずかしいなどの理由で変更することができるのでしょうか。林誠吾弁護士に聞きました。

 ●名字の変更のためには「やむを得ない事由」が必要

名字の変更をするには、家庭裁判所に「氏の変更許可の申立て」を行う必要があります。家庭裁判所は、名字の変更を求める申立てを審理し、「やむを得ない事由がある」場合に名字の変更を許可します(戸籍法107条1項)。家庭裁判所に名字の変更が認められた後は、本籍地か住所地の役場に届出をします。これで、変更された後の名字が戸籍に記録されることになります。

では、「やむを得ない事由」とは具体的にどういうことなのでしょうか。これについて、昭和59年7月12日の大阪高裁判決では、以下のような一定の解釈を示しています。

「右にいう『やむを得ない事由』とは、氏が珍奇・難解・難読で、他の者に読むことが困難で、社会生活上著しい困惑と不便を与える場合とか、同姓同名者がいるため混同され社会生活上著しい支障があるような場合のように、当人にとつて社会生活上氏を変更しなければならない真にやむを得ない事情があるとともに、その事情が社会的客観的にみても是認されるものでなければならない場合をいうものと解せられる」

このような解釈に照らすと、今回の相談にあるような「蛇口」(へびぐち)という名字の変更は、実際に名字のせいでいじめを受けているなど「社会生活上著しい支障がある」ことを証明できれば、認められる可能性があるでしょう。

 ●「大工」「肴屋」…名字の変更が認められたケース

過去に名字の変更が認められたケースとしては、以下のような例があります。

(1)「赤畑」という氏が、共産党機関紙の「アカハタ」を連想させ、日常生活に不便を被ることを理由に変更が認められたケース(福岡高裁宮崎支部決昭和29年2月22日)

(昭和29年当時の社会情勢も多分に反映されていると思われます。現在も同じような理由で許可決定が出るかは疑問です)

(2)「大工」という氏は、珍奇なものとはいえないが、特定の職業を指称することは明らかであり、社会生活上の不便と苦痛を被り、人格も傷つけられることで嫌悪感を抱くこともあったことを理由に変更が認められたケース(那覇家審昭和50年9月13日)

(3)「肴屋」(さかなや)という氏は、特定の職業を連想させ、笑いの対象となり、小学生の子どもも学校や塾などでからかわれるなどの事情から、変更が認められたケース(長崎家審昭和61年7月17日)

(4)「大楢」という氏は、発音すると「オナラ」に聞こえ、滑稽かつ珍奇といえることを理由に変更が認められたケース(岐阜家審昭和42年8月7日)

そのほか、他人の子として出生届・認知がなされ、長年特定の名字を使って生活をしていたところ、認知の無効が認められたことにより戸籍の訂正がなされ本来の名字に戻ったものの、長年使用していた名字への変更を申し立てた事件においても変更が認められています。本来の名字よりも長年使っていた名字が優先された、というケースです(東京高決昭和57年8月24日)。

●「簾」「佃屋」…変更を申し立てるも認められなかったケース 

名字の変更を申し立てたものの、認められなかったケースもあります。

(1)「簾」(みす)という氏は、当用漢字ではなく読み書きが難しいけれども、この程度の難読・難書であれば少し努力すれば容易に克服できることを理由に変更が認められなかったケース(大阪高決昭和26年10月12日)

(2)「佃屋」(つくや)という氏は、誤読がされやすいものの、混乱を招くほどの誤読ともいえないことを理由に変更が認められなかったケース(東京家審昭和43年10月3日)

(3)「立仙」という氏は、外国人風ではあるが、外国人と間違えられる可能性は高くはなく、社会生活上困難を来さないことを理由に変更が認められなかったケース(東京高決昭和37年12月7日)

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この記事に対するコメント

  1. 名も無き様 30代 女性

    ありがとうございます

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  1. きなこ 60代以上 女性

    姓という、自分では選択不可能な事柄で心を痛めている人にとって朗報になる。名前に苦しむ子ども時代を思い出した。60歳を過ぎた今でも変更を認める簡単なシステムが欲しいです。親の願いが絶対とするのは大きな間違いだ。

    返信
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  1. 名も無き様 30代 女性

    名前に関してもっと法的にもシステム的にも整備してほしい
    外国人の『通名』制度がまかり通るのに
    改名制度がいささか厳しすぎるんだよなぁ

    とPCで変換できない名前の自分がいってみる
    友人たちからはネット上のハンドルネームでしか呼ばれない(10年超友人間ではその名前で通っている)
    せめて読みか漢字を変えるぐらいならさらっとできるシステムほしいわ

    返信
    1. 名も無き様

      姓に関しては不明ですが、名に関しては、役所に登録するのは漢字('サト子'等の片仮名除く)なので、名の読みは変えられると聞いたことがあります。 あとは、変えた後の名の読みを回りの人に広められれば‥

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  1. ジャンピ 20代 男性

    真にいけないのは人の名前をそうゆう風に馬鹿にする周りではないのでしょうか?
    自分も名前でいじめにあうような事があったけど親に名前はその人の存在そのものであり周りの人達の人格や性格に問題がある
    もっと広い視野でみなさいと教育された
    その結果からか解らないですが、
    今では自分の名前に誇りを持てているし
    仮に言われたとしてもネタに変えたり言い返したりできるようになりました。
    要は親が自分の子を守りたいが為にそのような事をしてしまうのは逆に子供にとってそういった人間関係的な解決力を養う機会、つまり成長を奪ってしまうのではないかと思います。

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