自動販売機から賞味期限切れの飲み物が出てきて、飲んでしまったーー。弁護士ドットコムに、このような相談が寄せられている。
相談者は自動販売機で飲み物を買い、一口飲んだ後に賞味期限が「2年前」だと気づいた。体調に大きな問題はないものの、すこし気分が優れなくなったという。
ネット上にも「自販機でお菓子を買ったら賞味期限が4カ月前。さすがに食べられなかった」「自販機で買ったラテを飲んだら固形感があった。賞味期限見たら切れていた…」など賞味期限切れの商品にあたってしまった人からの投稿もみられる。
●返金には応じてもらえる?
自動販売機で買った商品の賞味期限が切れていた場合、返金を求めることはできるのだろうか。中西祐一弁護士は、次のように説明する。
「自動販売機で商品を買う行為は、法的には、自動販売機設置業者との間で商品についての売買契約を締結していることとなります。そのため、返金を求めるには、いったん成立した売買契約を解除する必要があります。
買主(商品を買った人)が売主(自動販売機設置者)との間で結んだ売買契約を解除するためには、つぎの2つの条件を満たす必要があります。
(1)売主が売買契約上の義務を履行していないこと
(2)買主が義務を履行するよう催告(相手に対して一定の行為をするように要求すること)しても履行がなされないか、催告なしで契約を解除できる特別な事情があること
賞味期限切れの商品を提供した場合、売買契約上の義務を履行したことにはならないと考えられますので、(1)の条件は満たすと思われます。
(2)については、自動販売機設置業者に『賞味期限が切れていない飲料を提供してください』と期限を定めて催告したにも関わらず、提供されない場合に、はじめて契約の解除を求めることができます。
催告なしで契約を解除できる場合もあり、民法543条に定められていますが、自動販売機での飲料販売にはあてはまらないと考えられます。
したがって、業者側が自主的に応じてくれない限りは、返金を求めることは実際にはなかなか難しいでしょう。かわりに、賞味期限が切れていない商品を受け取ることで解決としなければならないと思われます」
●期限切れの商品を飲み食いして体調を壊したら?
では、自動販売機で商品を買った時点で賞味期限が切れていることに気づかず、商品を飲み食いして体調を崩した場合、損害賠償を請求することなどはできるのだろうか。
「体調不良の原因が賞味期限切れの商品にあるのであれば、治療費や休業損害・慰謝料等の損害賠償を求めることができます」