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「世耕大臣、私たちの話も聞いて」コンビニ店主ら、署名活動始める
コンビニ4社

「世耕大臣、私たちの話も聞いて」コンビニ店主ら、署名活動始める

コンビニの「社会インフラ」としての持続が困難になっているとして、店主らでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」がこのほど、経済産業省の世耕弘成大臣に宛てた署名活動を始めた。主な対象はコンビニ関係者だが、一般の署名も歓迎するとしている。5月31日まで。

(1)各コンビニ本部に対し、同ユニオンと話し合いの場を設けるように促すこと、(2)世耕大臣による同ユニオンへのヒアリングの機会を設けることーーを求めている。

中央労働委員会は今年3月、本部との団体交渉を求める同ユニオンの要求を退けた。一方で、本部と加盟店の交渉力格差にも言及し、「適切な問題解決の仕組みの構築」などが望まれると付言していた。

●「社会インフラ」担い手は赤字や過重労働

コンビニでは各種証明書の交付など、一部行政サービスが受けられる上、災害時は「指定公共機関」として復旧拠点にもなる。深夜の防犯機能も評価されており、「社会インフラ」という文脈で24時間営業の必要性が説明されることも多い。

しかし、その社会インフラを担っているのは、主として夫婦2人を基盤とするコンビニオーナーやスタッフたちだ。繁華街でもない限り、深夜営業は赤字だが、その維持に公金が投入されているわけでもない。清掃や陳列といった仕事があるとしても負担感は大きい。

「インフラとしての役割を果たそうにも、零細小売店である私たちが赤字を被って、或いは過重労働によって24時間営業を維持することは、とても困難になってきています」(コンビニ加盟店ユニオン)

特に同ユニオンは、ドミナント戦略(集中出店)に代表される、チェーン内外の激しい出店競争を批判。「20年間売上が頭打ちになる一方で、人件費は毎年上がり続けている」と主張する。

●コンビニ大手の行動計画に不満

世耕大臣の要請に応え、コンビニ大手3社などは4月下旬、加盟店支援のための「行動計画」を発表した。

しかし、同ユニオンの酒井孝典執行委員長は「目新しい内容はなく、効果は極めて限定的であると断じざるを得ない」と不満を口にする。

「お客さまの少ない深夜に店を開け、既存店のすぐ近くに出店し、大量の廃棄を出すといったビジネスモデルそのものが問われているのに、具体性のある回答がまったく示されませんでした。なおさら、世耕大臣に私たちの話を聞いてほしくなった」

署名用紙はコンビニ加盟店ユニオンのHP(https://www.cvs-union.net/)からダウンロードできるが、署名の受付は直筆の郵送のみ。ネットでの募集はしていない。

「今回は直筆にこだわりたい。店をやりながらなので、街頭で署名をお願いすることはできない。知り合いのコンビニオーナーを中心に呼びかけることになるが、賛同してもらえるのなら、一般の方にも署名をお願いしたい」

なお、経産省は、各社の行動計画のフォローアップなどを目途した「有識者会議」の開催を予定。同省によると、コンビニオーナーが会議のメンバーに入ることはないが、メンバーが別途、オーナーと意見交換する場を設けることを検討しているという。

(弁護士ドットコムニュース)

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