2019年04月26日 16時56分

コンビニ大手をチクリ? セイコーマートの踏み込んだ「基本方針」、年中無休にもこだわらず

園田昌也 園田昌也
コンビニ大手をチクリ? セイコーマートの踏み込んだ「基本方針」、年中無休にもこだわらず
セコマHP(http://secoma.co.jp/)より

コンビニ大手3社は4月25日、加盟店を支援する「行動計画」を発表した。加盟店が人手不足などに苦しんでいるとして、経済産業省の世耕弘成大臣がコンビニ各社に要請していた。

同日、北海道を中心に1190店舗あるセイコーマートも「セコマのコンビニエンスストア事業について」とするプレスリリースを発表した。

運営するセコマによると、行動計画ではなく、チェーンの基本理念を公表したものだという。「コンビニエンスストアが社会インフラとしての役割を担える、持続可能な店舗運営への改革を積極的に推進しています」として、これまでの取り組みを紹介している。

24時間営業やドミナント(集中出店)、期限が迫った弁当類を値引きする「見切り販売」など、コンビニが直面している問題への言及もある。

【セイコーマートのプレスリリース:https://www.seicomart.co.jp/images/top/pdf/20190425.pdf

●際立つ直営店比率の高さ

セイコーマートは、顧客満足度(サービス産業生産性協議会調べ)のコンビニ部門で、3年連続1位。北海道民にはおなじみのコンビニだが、本州だと埼玉県と茨城県にしかない。

その特徴の1つは、直営店比率の高さだ。元々直営率は高かったが、高齢オーナーの店を引き継ぐなどして、直営化を進めている。

大手の直営店は全体の数%しかない。加盟店に派遣される経営相談員(OFC/SV)の研修の場ともなっているが、赤字店舗が多いとされることから、オーナーから経営相談員のアドバイスがあてにならないと疑問視されることもある。

一方、セイコーマートでは全体の約80%が直営店。収益の柱となっているため、直営店のノウハウは加盟店でもそのまま利用できる可能性が高い。

こうした姿勢は、24時間営業の比率を見ても明らかだ。営業時間は店舗の状況を踏まえて設定しているといい、24時間営業の店舗は全体の22.8%。

深夜帯は客が少ない一方で、人件費は高くつくため赤字になりやすい。配送やブランドイメージといった要素もあるが、閉めてしまうのも1つの手と言えるだろう。

2018年からは店舗の半数以上が元旦営業を休んでいるという。

「単に店舗の従業員の休暇にとどまらず、食品製造や物流等サプライチェーン全体で働く従業員の休暇に広がっています。『年中無休』にこだわらず、少しでも働く人たちの心豊かな生活につながる取り組みを推進しています」(リリースより)

●柔軟な営業時間「持続可能性を重視」

加盟店に対するスタンスも明確だ。営業時間は7〜23時の16時間を原則とし、店舗の状況に合わせて、柔軟に設定できる。

「加盟店やその従業員にとって過度に負担の掛かる営業は店舗の存続の支障となり、これによって閉店を招くことも考えられます。社会インフラとしての役割を果たすためにも、持続可能性を重視した運営を推進しています」

ロイヤリティ(上納金)も総粗利益額の10%と低い。大手3社では、店舗をオーナーと本部、どちらが用意するかで割合は変わるが、本部が用意する場合は60%程度。それだけ売上力が高いということでもあるが、比べてみるとセイコーマートの低さが際立つ。

「本部は過度にロイヤリティ徴収することなく、加盟店の店舗運営におけるコスト負担を考慮した低い料率を実現するため、食品製造や物流分野に事業領域を拡大し、本部の収益源の多様化も図ってきました」

●過剰出店は共存の精神に反する

コンビニは業界全体で5万店を超えており、近年は飽和が指摘されている。店舗が増えた理由の1つには、ドミナント(集中出店)の問題がある。

近い範囲に同じチェーンをつくることで、地域内での存在感を高める手法だ。他チェーンを追い出せれば、優位性はさらに高くなる。ただし、加盟店からすれば、系列が一緒でもライバル同士。売上やスタッフの奪い合いにもなる。

この点、セイコーマートは「加盟店はテリトリー権を有します」と明記。札幌市内の繁華街も含めて、店舗の半径150m以内に原則出店しないという。

リリースではここでも、「過剰な出店は加盟店の存続の支障となる可能性があり、共存の精神に反します」と、これまでのコンビニ業界の方針について、批判的なスタンスが貫かれている。

●「見切り販売」はむしろ推奨

公正取引委員会は2009年、廃棄前の弁当などを値下げする「見切り販売」を禁止したことについて、セブンイレブンに対し、独禁法違反(優越的地位の乱用)で排除措置命令を出している。

コンビニでは、本部と加盟店の利益配分の際、売れなかった商品(廃棄)の原価は除外されている。このことから、本部は加盟店に対し、大量の仕入れを要求しがちだ。

廃棄は一部金額を本部が負担してくれるようになったが、売れ残れば、加盟店の負担は増えるばかり。そこで活用されるのが、見切り販売だ。

しかし、禁止はできなくなったものの、大手コンビニでは現在も見切り販売は推奨されておらず、経営相談員から反対されることもあるという。

この点、セイコーマートは、店舗の裁量で実施でき、本部も「必要に応じて見切り販売を推奨」しているという。

実態面まで見ないと正確な評価はできないし、チェーン固有の課題もあるかもしれない、他チェーンも個別事情があるからそのままマネできるものではないだろうが、疲弊するコンビニ業界にあって参考になる取り組みと言えそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

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