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イキリ社員による「職場の士気低下」問題 会社はどう対処する?
写真はイメージ(den-sen / PIXTA)

イキリ社員による「職場の士気低下」問題 会社はどう対処する?

気の荒い社員が「やってらんないから辞める!」「明日から休む!」と暴言を吐き、職場の雰囲気は悪化、同僚の士気も低下しているーー。そんな職場について、弁護士ドットコムに相談が寄せられました。

その社員は、暴言をはいて、上司の指示に従わないこともあります。上司が注意しても、聞く耳を持たないそうです。さらに後輩にもパワハラに該当するような暴言を吐いています。

ところが、被害にあった社員は「怖いから(本人に)会社から言わないでください。とりあえず、自分でどうにかしてみますので」とトラブルになることを恐れるため、会社としては手の打ちようがないようです。

相談者はこれでは事態は改善しないと考えており「モヤモヤします」と話します。

こうした問題社員を抱えた場合、会社が解雇など懲戒処分をくだすことは可能なのでしょうか。山田長正弁護士に聞きました。

●懲戒処分は可能?

ーー今回の社員に対して、懲戒処分を行うことは可能でしょうか

「ご質問に端的にお答えしますと、懲戒処分を行うことは可能です。

ただし、前提として、会社に就業規則等の懲戒処分を明記した内容の書面があり、それを社内で周知していることが必須です。その上で、就業規則類で、相談事例のような問題行動が懲戒事由として掲げられている必要があります」

ーー懲戒処分といっても、注意処分から解雇まで、様々な段階があります。もし「解雇したい」と会社が考える場合、どのように処分は進むのでしょうか

「解雇に至る手順は多様です。ただし、まずは会社としては問題行動を認識する度に、注意指導を繰り返す必要があります。その上で改まらない場合は、懲戒処分を行うことが一般的です。

懲戒処分につきましても、いきなり一番重い『懲戒解雇』を行うのではなく、譴責・訓戒・戒告といった最も軽い注意処分をはじめに行い、その後、改まらない場合に徐々に減給、出勤停止、降格等の、重い措置にしていくべきです。

それでも本人が反省せず改まらない場合は懲戒解雇を行う流れになります。あるいは就業規則に基づき『適格性欠如』や『協調性欠如』等を理由とした普通解雇を行う流れとなります。

これら解雇までの間に、人事上の措置として、配転を行ったり、降職を行うような場合もあります。反省を促す手段の一つにもなりますので、可能であれば行っておくと良いでしょう」

●いきなり解雇は「お勧めできません」

ーー注意をしても改めない場合にはどうしたら良いのでしょうか

「労働者の態度が注意指導でも改まらず、逆に反発を強めるような極めて悪質な場合には、このような手順を踏まず、いきなり解雇するような場合もあり得ます。解雇が無効になるリスクを踏まえると、あまりお勧めできませんが、ケースバイケースの判断となります。

以上のように、いろいろな手順があり、事案毎に使い分ける必要があります。いずれにしても、労働者にとって最も重い解雇処分を行う場合には、会社は慎重な判断をするよう留意してください」 (弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

山田 長正
山田 長正(やまだ ながまさ)弁護士 山田総合法律事務所
山田総合法律事務所 パートナー弁護士 企業法務を中心に、使用者側労働事件(労働審判を含む)を特に専門として取り扱っており、労働トラブルに関する講演・執筆も多数行っている。

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