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「外国人は使いやすい部品」か シャープ亀山工場で2900人雇い止め、労働局に告発
会見の様子(2018年12月3日、厚生労働省)

「外国人は使いやすい部品」か シャープ亀山工場で2900人雇い止め、労働局に告発

シャープ亀山工場(三重県亀山市)で働いていた外国人労働者約2900人が、今年に入り、次々に雇い止めされていた問題。労働組合「ユニオンみえ」は、派遣会社を職業安定法などに違反しているとして三重労働局に告発し、12月3日、東京・霞が関の厚生労働省で会見を開いた。外国人労働者について「人間というより材料と見ている節がある」と指摘した。

●外国人労働者3000人→今はわずか100人に

告発は11月22日付。告発状などによると、三重県内の派遣会社が雇った約3000人の外国人労働者が、シャープ亀山工場に供給され、iPhoneの部品製造などにあたっていた。だが生産ライン見直しに伴い、一方的な賃下げなどを強いられたという。今年に入り大量の雇い止めがあり、2900人が既に工場を追い出され、現在は100人しか働いていないとしている。

また、外国人労働者が雇用契約を結ぶ派遣会社について、1カ月〜2カ月単位で転々と変えることで、有給休暇を与えなかったり社会保険料の負担を免れたりしていたという。組合は「登記簿によると、ペーパーカンパニーを作ったり壊したりを繰り返している。1カ月または2カ月ごとの短期間で、それぞれ契約書や退職届を書かせて転がしている」とした。

●「雇い止めはショック」

2017年10月から1カ月更新で働いていたという、モロナガさん(68)は今年7月末で雇い止めにあった。求人段階での給与は37万円とされていたが、最終的には12万円あまりにまで減らされたという。2015年8月から働いていたシマヅさん(27)が雇い止めにあったのは今年9月。「雇い止めはショック」と話した。以降、仕事は見つかっていないという。

全国コミュニティ・ユニオン連合会の鈴木剛会長は「外国人労働者を使いやすい部品のように捉えている」。ユニオンみえの神部紅書記次長は「人間というより材料と見ている節がある」とそれぞれ問題視した。

●「異議を申し立てると不利益」

NPO法人派遣労働ネットワークの中野麻美弁護士は「誰も雇用についての責任を負わず、労働者への支配は存在し、労働者の権利が奪われている。そして何も勧告がされていないのは由々しき問題だ。労働者は雇用が不安定ななか、異議を申し立てると不利益を被るという力関係に置かれている。こういう連鎖を断ち切らなければ労働現場に人権はない」と述べた。

会見では、派遣会社が反社会的勢力とのつながりが疑われるとも指摘があった。ユニオンみえに対し、抗議行動中に黒塗りの高級外車で接近してくるだけでなく、電話で「うちの若い衆たちは皆、あんたのこと怒ってるで、もうちょっとで答え出るで見とってみ」などと脅迫めいた発言をしてきたという。会見中、実際のものとされる音声データの一部が再生された。

また、今国会では、外国人労働者の受け入れ拡大に向けた入管法の改正案が審議されている。この点について聞かれた組合は、「新たに大量に入れていこうとすると彼らの人権も心配だ。非常に劣悪な環境で働かされることは目に見えている」と指摘した。

●シャープ「対応は未定」

シャープは弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「現時点では情報が限られており、今後の対応については現時点で決まっていない」(広報)とした。

(弁護士ドットコムニュース)

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