弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 犯罪・刑事事件
  3. 児童買春・援助交際
  4. 「まさか12歳とは」少女が40日間で70人接客…湯島マッサージ店の経営者が法廷で語った「転落のワケ」

Googleトップニュースでフォロー

フォローの仕方はこちら
Add as a preferred source on Google
弁護士保険ミカタ
「まさか12歳とは」少女が40日間で70人接客…湯島マッサージ店の経営者が法廷で語った「転落のワケ」
東京地裁(弁護士ドットコム撮影)

「まさか12歳とは」少女が40日間で70人接客…湯島マッサージ店の経営者が法廷で語った「転落のワケ」

タイ国籍の少女(当時12歳)が、東京・湯島のタイ式マッサージ店で働き、約40日間で70人の客を相手にしていた事件。

警視庁は当初、性的搾取を目的とした人身取引事案とみて、背後に組織がいないか実態解明を進めていたが、店を経営していた男性被告人は、児童買春・児童ポルノ防止違反や風営法違反、入管法違反の罪で起訴された。

「12歳とは知らなかった」

被告人は法廷でそう主張した。少女の母親からは「20歳」と聞かされ、外見からも12歳には見えなかったという。一方、検察側は、パスポートを確認すれば年齢はわかったはずだと指摘する。

東京地裁(池上弘裁判官)で8月6日に開かれた公判で、検察側は拘禁刑6年と罰金200万円を求刑した。弁護側は無罪を主張している。判決は9月15日に言い渡される予定だ。

公判では、12歳の少女がなぜ店で働くことになったのか、そして被告人が店を開業し、性的サービスを提供するようになった経緯についても語られた。(ライター・渋井哲也)

●12歳の少女、約40日間で70人の客

起訴状などによると、被告人は2023年9月、文京区湯島にタイ式マッサージ店を開業した。

同年12月から、タイ国籍の女性=別途公判中、無罪を主張=が働き始めた。2024年2月からは人材募集や採用を担当するマネージャーとなり、月約30万円の報酬を受け取っていた。

被告人は採用をこの女性に一任していたという。

少女が母親とともに短期滞在ビザで来日したのは、2025年6月27日だった。

母親は以前、この店で働いたことがあり、「少女とともに働きたい」と連絡してきたという。少女は翌28日から働き始め、8月中旬までの約40日間で70人の客を相手にしたとされる。

被告人は、母親から少女について「20歳」と聞かされていたと主張している。

これに対して、検察側は論告で、母親から20歳と聞いていたとしても、パスポートを確認すれば実際の年齢を把握できたと指摘。年齢確認をしなかったことについて「児童が働ける環境をつくる者がいるから性的搾取は根絶されない」と悪質性を強調した。

●「結婚も考えた」女性に300万〜400万円

被告人はなぜ、タイ式マッサージ店を経営するようになったのか。

公判では、その経緯も語られた。

被告人によると、専業主婦だった母親が亡くなった後、建設関連会社で働いていた父親も倒れた。兄も早くに亡くしており、ほかに家族はいなかったという。

そうした中で精神状態が悪化し、病院でうつ病と診断された。体調がすぐれない中、タイ式マッサージ店に通うようになり、そこで働いていた女性と親しくなった。

「そこで特に気に入った先生がいて、一緒にお店をやろうと言われました。結婚も考えました」

被告人は女性を信用し、開業資金として300万〜400万円を渡したという。しかし、その後、女性は帰国した。

被告人は、結婚をほのめかされて金を渡したとして、自身はだまされたと受け止めている。

「信用していましたが、その女性は帰国してしまいました。騙されました。精神状態はさらに悪化しました。死にたいと思うようになった。今もそうした思いがある」

●「性的サービスがないとダメ」

その後、被告人は一人でマッサージ店を開こうと、湯島のマンションの一室を自分名義で借りた。

そんな時期に出会ったのが、のちに店のマネージャーとなるタイ国籍の女性だった。

被告人によると、女性から結婚を持ちかけられ、一軒家を持っているという話もした。被告人は女性を信用するようになり、やがて店の営業についてもアドバイスを受けるようになったという。

「性的サービスがないとダメ」

被告人は当初、この提案を断ったと証言した。性的サービスのない「真面目なマッサージ店」を経営したかったという。しかし、女性が強く求め、最終的には受け入れたと説明した。

「もう希望がありませんでした。最初は優しかったのですが、徐々に厳しくなっていきました。交際を始めると、結婚の話はしなくなりました。力関係は女が上。今思うと、騙されたと思っています」

●「まさか12歳とは」身分確認はせず

そんな中、少女が日本に入国した。

被告人は公判で、少女が未成年とは「知らなかった」と証言した。

「少女の母親が女と知り合いで、少女がマッサージ店で働くことになりました。女が採用の担当でした。そのため、自分としては、少女の採用は事後承認です。ただ、身分確認をしていません。女からは、少女を『雇った』という情報をXで宣伝してほしい、と言われました」

被告人は少女のパスポートなどを確認していなかった。

それでも、まさか12歳だとは思わなかったという。

「外見では12歳には見えませんでした。背中にタトゥーが入っていましたし、毎晩のようにお酒を飲み歩いていました。飲み代は店の売り上げから(少女が自分で)出していたと思います」

被告人によると、店の1日の売り上げは数万円から数十万円だった。

客から受け取った代金から従業員の取り分を差し引き、残りを店に入れる仕組みだったという。しかし、少女が接客した分については、店側に入るはずの金がほとんど残っていなかったと被告人は証言した。

「お客さんから頂いた代金から、従業員の取り分を抜いた分をお店に入れることになっていたのですが、少女の場合は、お店の分を入れる茶封筒には小銭しか入っていませんでした」

被告人は、少女が店側に入れるべき売上金を飲食などに使っていたのではないかとみていたという。

●経営者なのに「給料もありません」

被告人によると、少女に売上金を店に入れるよう求めても、「はい」と返事をするだけで、言うことを聞かなかったという。

客からの評判も「悪かった」と証言した。

そもそも、店の経営自体が順調ではなかったという。

「2025年1月ごろまではタイの女が(店の経営を)管理していました。備品などの経費も私が自分で負担していました。店は赤字です。私自身の給料もありません。しかし、従業員には支払わなければならない」

赤字をどう補填していたのか。

被告人は、両親から相続した土地と家を売却し、資金を工面したと説明した。

「(両親の遺産である)土地と家を売ってお金を作りました。ケンカ別れになるまで女には月約30万円の報酬を支払っていました。ケンカ別れの後、女は錦糸町に自分の店も出しました。売り上げから誤魔化していたと思います」

女性はその後、錦糸町でマッサージ店を開いたという。

被告人は、その資金に湯島の店の売り上げが使われたのではないかと疑っている。ただ、公判ではこれを裏付ける証拠は示されておらず、実際の資金源は明らかになっていない。

●「少女は14歳だよ」聞いて解雇

被告人が少女を辞めさせるきっかけになったのは、ほかの従業員から年齢を聞かされたことだった。

「少女は14歳だよ」

実際には12歳だったが、被告人はこの話を聞いて少女を解雇することにしたと証言した。

「少女は『お店にいる(やめないという意味)』と言い張りました。しかし、私は、年齢を理由に『それはできない』と断りました」

ただし、この時点でも被告人はパスポートなどを確認していなかったという。

その後、少女は性的サービスを提供する別の店に移ったとされる。

被告人によると、少女から再び自分の店に「戻りたい」と言われたこともあったが、このときも「年齢が理由で難しい」と断ったという。

●少女は「裸にされた」と陳述

一方、少女の陳述書には、被告人から「裸にされた」とする内容が記されている。

これについて被告人は、客からクレームがあり、性的サービスのやり方を確認するためだったと説明した。

「客からのクレームがあって(口腔性交の)テストをしました。1回だけです。他の従業員にもテストをすることがありました」

検察側は被告人に拘禁刑6年と罰金200万円を求刑しているが、弁護側は無罪を主張している。

店でマネージャーをつとめていたタイ国籍の女についても裁判が進んでいる。

女は初公判の罪状認否で「事実はその通りではありません」と述べ、起訴内容を認めていない。次回公判の期日は決まっていない。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

この記事をシェアする

Googleトップニュースでフォロー

フォローの仕方はこちら
Add as a preferred source on Google

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では協力ライターと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

協力ライター募集詳細 情報提供はこちら