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上司のパワハラ発言を「録音」したら、バレてしまった! 懲戒処分を受ける?
画像はイメージです(プラナ / PIXTA)

上司のパワハラ発言を「録音」したら、バレてしまった! 懲戒処分を受ける?

上司のパワハラ発言を録音していたら、バレてしまったーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「この理由での懲戒は可能なのでしょうか」との質問が寄せられた。

相談者が録音していたことが、社長にバレてしまい、「悪質行為のため懲戒理由」と言われてしまったそうだ。

パワハラに限らず、様々なハラスメントや、労働問題をめぐるトラブルで録音が重要な鍵を握ることがあるが、録音していたことがバレてしまった場合、懲戒処分を受けてしまう可能性はあるのだろうか。録音するときには、どういうことに注意すればいいのか。太田 伸二弁護士に聞いた。

●懲戒処分の対象にはならない

「ハラスメントなどのトラブルが実際に発生していて、その証拠を残すために録音をしていたのであれば、懲戒処分の対象にはなりません。

たしかに会社は、就業規則などで従業員に対して一定の義務を課すことができますし、職場内での録音機器の使用を禁止する規定を実際に設けている場合もあると思います。

しかし、懲戒処分を課すことができるのは、その行為が職場の規律を乱すようなものに限られます。会社でハラスメントなどのトラブルが生じている場合、被害者側が録音することはやむを得ないことであって、職場規律を乱す行為と評価することはできません。ですから、このような場合は、録音していたことが分かったとして会社が懲戒処分を行ったとしても、無効となります」

どんなことに注意すればいいのか。

「録音していることが知られてしまっては証拠を得ることができません。一方で、会社に知られないように注意しすぎると音声が録音できません。職場の状況やご自身の職場での服装なども考えて、録音機器の使い方を考える必要があります。

また、ハラスメントを受けておられるのであれば、労働問題に取り組む弁護士に、録音の仕方なども含めて早めに相談することをお勧めします」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

太田 伸二
太田 伸二(おおた しんじ)弁護士 新里・鈴木法律事務所
2009年弁護士登録(仙台弁護士会所属)。ブラック企業対策仙台弁護団事務局長、ブラック企業被害対策弁護団副事務局長、日本労働弁護団全国常任幹事。Twitter:@shin2_ota

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