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「パタハラ」で三菱UFJモルスタ証券を提訴、カナダ出身男性「最高裁まで戦う覚悟」
会見するグレン・ウッド氏(中央)

「パタハラ」で三菱UFJモルスタ証券を提訴、カナダ出身男性「最高裁まで戦う覚悟」

育児休業から復帰後、業務から不当に外され、うつ病を発症し休職に追い込まれたとして、三菱UFJモルガン・スタンレー証券幹部のカナダ出身男性が同社を相手取り、東京地裁に慰謝料などを求める訴えを起こした。提訴は12月14日付。

男性はグレン・ウッド氏(47)。2012年9月より、同社で外資系機関投資家向けのセールスチームを統括する特命部長として勤務していた。

訴状によると、ウッド氏は、パートナーがネパールで子どもを出産したことを受け、2015年11月から育休を取得すると申請。だが、同社は母子手帳の提出がないことを理由に受領を拒否し、父子関係を示すDNA鑑定を出した後の2015年12月に育休取得が許可されたという。

2016年3月に復帰したが、従前の業務から外されたことでうつ状態となり、2017年1月から休職。療養後の2017年7月、復職可能との主治医による診断書とともに復職を申請し、その後に産業医も復職可能との判断を示した。

●従前の業務への復帰を目指したものの

ところが、同社は「人事部としての判断」として、従前の業務に戻すことを拒んだ上で、給与を半減させ、事務作業的な業務を担当とすることを復職の条件として提示したという。同社は2017年10月、復職条件を受け入れないウッド氏に休職命令を発令。ウッド氏はその後、受け入れられないとして、従前の業務で復帰できるよう東京地裁に仮処分を申し立てていた。

今回、提訴に踏み切ったことで、仮処分の手続きによる解決は断念したことになる。ウッド氏の代理人・今泉義竜弁護士によると、同社が、ウッド氏側が記者会見を開いたことなどのメディア対応を問題視しており、話し合いによる解決は困難であるとの見解が地裁から示されたことを踏まえたという。

●ウッド氏「何があっても諦めない」

ウッド氏は12月15日、東京・霞が関の厚生労働省で会見し、「日本が大好きで是非仕事を返してほしい。何があっても諦めない。最高裁まで戦ってもいい」と述べた。同席した今泉弁護士は、同社の一連の対応を「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」と指摘、「休職明けの従業員に対する配慮としてあまりにもおかしい」と語った。

一方、同社は弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」(広報担当)としている。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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