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オフィスの「冷房」で体調を崩す人が半数弱、会社の責任を問える?
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オフィスの「冷房」で体調を崩す人が半数弱、会社の責任を問える?

ビジネスパーソンの約半数が、オフィスの冷房を「寒い」と感じていることが、三菱電機ビルテクノサービスの調査でわかった。オフィスの冷房で体調を崩したことがある人もおよそ48%いる。

調査は6月、東京と大阪に住む男女500人ずつを対象にインターネットで実施した。このうち、オフィスの冷房を「とても寒い」と感じる人は12.4%、「やや寒い」と答えた人は35.7%だった。いずれも女性の割合が高く、女性の方が冷房に不満を持っている傾向がわかる。また、全体の約4割が体調不良の経験があると答えた。

オフィスによっては、冷房の温度を変更できないところも多いし、ひざ掛けやカーディガンなどの対策にも限度がある。行き過ぎた冷房設定で体調を崩した場合、会社側の安全配慮義務違反を問うことはできないのだろうか。河野祥多弁護士に聞いた。

●オフィスの室温は、17度以上28度以下にするように努めること

「オフィスの室温に言及した法律として、事務所衛生基準規則が挙げられます。

この規則によって、事業者はエアコンがある場合、室温を17度以上28度以下にするように努めることが求められています。また、室温を外気温より著しく低くしてはいけない、とも規定されています。

くわえて、会社には従業員が快適に仕事をすることができる環境を提供する義務(安全配慮義務)があります。

よって、エアコンの設定が寒すぎて体調を崩した場合や、逆にクーラーを入れずに熱中症などになった場合には、安全配慮義務に違反したとして、会社が責任を問われる可能性があることになります」

ただ、温度に関しては、個人差も大きいのではないか。

「その通りです。実際のところ、よほど極端な場合を除き、会社に責任が認められることはないでしょう。

したがって、状況に応じて、労使で十分に話し合いながら、一緒に快適な環境を作っていくという姿勢が大切でしょう。たとえば、座る席を変えたり、エアコンの風向きを調整したり、扇風機を活用したりすれば、対処可能な場合が多いかと思います。

事業者はもとより、社員全員がそれぞれ相手の立場を考えて、譲り合う気持ちを持つことが大切なのです」

河野弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

河野 祥多
河野 祥多(こうの しょうた)弁護士 むくの木法律事務所
2007年に茅場町にて事務所を設立以来、個人の方の相談を受けると同時に、従業員100人以下の中小企業法務に力を入れている。最近は、ビザに関する相談も多い。土日相談、深夜相談も可能で、敷居の低い法律事務所をめざしている。

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