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退職予定者に「ボーナス支給日」を聞かれた・・・会社は教える義務があるの?
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退職予定者に「ボーナス支給日」を聞かれた・・・会社は教える義務があるの?

「会社を辞める予定なのでボーナス支給日を教えてください」。東京都内の企業で働くMさんは、上司にそう伝えたところ、「そんなことを聞いてきたのはおまえが初めてだ!」と怒鳴られたという。

Mさんは、別の会社への転職を予定している。すでに、次の会社の内定ももらっているそうだ。ボーナスが支給される時期が迫っていたので、支給される日までは今の会社に在籍して、ボーナスをもらってから次の会社に移ろうと考えているそうだ。

たしかに、会社からしてみると、辞めていく人にボーナスを支払うことに抵抗があるかもしれない。ボーナスを支給する日を社員から聞かれた場合、教える義務はあるのだろうか。労働問題にくわしい原英彰弁護士に聞いた。

●支給日を教える必要はない

「まず、正社員(雇用期間の定めのない労働者)の退職は、2週間の予告期間を置けばいつでもできます。ですから、ボーナスの支給される日まで在籍して、退職すること自体に法的な問題はありません」

原弁護士はこう指摘する。では、支給日を聞かれた場合、企業は答える必要があるだろうか。

「原則として、答える必要はありません。

多くの企業では、ボーナスについて、業績や個々の労働者の勤務査定の結果、金額を決定し、任意の支給日を設定して支給しています。

労基法では、賃金は就業規則で支給日を定めなければならないとしていますが、ボーナスは、この『賃金』に含まれません。

そのため、企業は、任意で支給日を定めることができます。労働者から、ボーナス支給日がいつか聞かれても、答えるべき法的義務もありません」

●例外的なケースとは?

ただ、原弁護士は例外的な場合があると指摘する。

「就業規則にボーナスの具体的支給日を定めている場合です。

企業は、就業規則の内容を労働者に対して周知する義務があります。

そのため、こうした場合には、回答を拒否することはできないか、少なくともボーナス支給日を定めた就業規則を見せる義務はある、ということになるでしょう」

では、就業規則で支給日を定めていない場合に、ボーナスを支払いたくない企業側が、退職者の退職予定日を知って、ボーナス支給日をずらしても問題ないのだろうか。

「ボーナスを支給日に在籍する労働者に支給するという、支給日在籍要件を設けることは一般的に適法とされています。ですから、支給日を後ろにずらして、支給を避けることは可能です。

ただ、ボーナスには支給対象期間中の賃金としての性質もあると考えられます。あまり恣意的に支給日を調整して、退職者をボーナス支給対象から外すことは控えるべきでしょう」

原弁護士はこのように述べていた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

原 英彰
原 英彰(はら ひであき)弁護士 JPS総合法律事務所
人事労務を中心に、企業法務を取扱う。外部労組との団体交渉の経験が豊富で、年間50回を超える出席をしている。

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