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職場で借金を頼みまくり、上司から3度目のおとがめ…いよいよ懲戒処分もやむなし?
画像はイメージです(mits / PIXTA)

職場で借金を頼みまくり、上司から3度目のおとがめ…いよいよ懲戒処分もやむなし?

職場の後輩から借金しようとしたことが上司にバレた。懲戒処分を受けてしまうのだろうか——。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。

相談者は過去に2回、職場内での借金について、上司から注意されたことがあります。再発防止を書面で誓わされていたにもかかわらず、3度目の借金を後輩に申し入れたようです。

後輩からは「余裕がない」と断られたのですが、借金しようとしていたことが上司や総務にバレてしまいました。その結果、上司に呼び出されて、顛末書の提出を求められたほか、それを踏まえて懲戒処分をするかどうか検討すると言われました。

さらに総務からは、パワハラの可能性もあると指摘されたそうです。

相談者としては、過去の借金もきっちり返済していることから、今回の会社側の対応に不満があるようです。職場での借金を理由に、懲戒処分を受けることはあるのでしょうか。戸田哲弁護士に聞きました。

●就業規則で「職場内での借金は懲戒」定める企業少なくない

——職場での借金が懲戒処分の理由になるのでしょうか。

懲戒処分とは、企業秩序を乱した場合に「制裁」として課されるものです。つまり、会社内部での刑罰のようなものです。

就業規則では、職場内でのお金の貸し借りが一切禁止され、懲戒処分の対象と定められているケースがよく見られます。

社員の間で金銭の貸し借りがされた場合、返済が滞ったときにトラブルに発展する可能性があることはもちろん、きっちり返済していたとしても、お金の貸し借り自体で、人間関係が悪化する可能性があるからです。

もちろん、ご飯代やジュース代など、少額の立て替えであれば、企業秩序に大きな影響は起きにくいので、単なる注意だけにとどまることも多いでしょう。

——今回のケースではどうでしょうか。

相談者は職場内での借り入れを理由に、すでに会社から2回注意されているとのことですので、仮に金額が少なくても懲戒処分を受ける可能性があります。

実際には借金の申し入れは断られたようですが、人間関係の悪化を引き起こす可能性があるという点は借金した場合と同じであり、借金禁止に類する行為になりえます。ただこの点は、就業規則の根拠規定をしっかりチェックする必要があるでしょう。

●口頭注意や始末書の提出がありうる

——職場での借金が理由の場合、どのような懲戒処分を受けることになりますか。

借金の金額が大きい場合や滞納して社内で大きなトラブルになっている場合でもない限り、口頭注意や始末書の提出などで済むことが多いでしょう。

不当に重い処分がされた場合、懲戒権の濫用(労働契約法15条)になる可能性があるので、弁護士への相談をおすすめします。

——相談者はパワハラの可能性も指摘されたようです。

パワハラは、職場上の地位を利用して、精神的・身体的苦痛を与える行為です。借金を申し入れる際に、相手の人格を侵害するような不当な言動がある場合などは別ですが、単に後輩から借金しようとしただけでパワハラに該当する可能性は低いでしょう。

(弁護士ドットコムライフ)

プロフィール

戸田 哲
戸田 哲(とだ さとし)弁護士 弁護士法人戸田労務経営
千葉県弁護士会 労働問題対策委員会副委員長。労働者側・使用者側の双方の事件を数多く取り扱い、「労働」分野の総合対応を強みとする。労働事件専門講師経験も多数(弁護士会主催研修、社会保険労務士会主催研修、裁判所労働集中部主催労働審判員対象研修等)。Ⓡ労務調査士

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