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夫が無断で離婚届→愛人と再婚 置いてきぼりの「本妻」が逆襲
写真はイメージです(xiangtao / PIXTA)

夫が無断で離婚届→愛人と再婚 置いてきぼりの「本妻」が逆襲

夫が勝手に離婚届を提出した上、別の女性と「再婚」していたーー。夫の身勝手に振り回されている女性が、「(後妻との)婚姻の取り消しをさせ、慰謝料請求はできますか?」と、弁護士ドットコムに相談を寄せています。

相談者の夫は無断で離婚届を提出し、受理された直後に別の女性と再婚したそうです。その後、相談者は調停をおこし、離婚は無効と認められました。

しかし、それで話は終わりませんでした。なぜなら、その後の女性との再婚についてはそのままの状態になっているためです。相談者は、「離婚は無効なのに、なぜ再婚は認められたままなの?」として、「重婚状態にある夫」に対する怒りはやみません。

相談者に離婚する意思はなく、再婚を認めるつもりもありません。このような場合、夫の「再婚」を取り消し、慰謝料を請求することは可能なのでしょうか。

森元みのり弁護士の解説をお届けします。

●「婚姻取消」の請求は可能

ーー夫と女性の「再婚」を取り消すことはできるのでしょうか。

今回のケースでは、「婚姻取消」を請求することができます。

婚姻取消は、離婚のように当事者が役所に届け出るだけではできず、家庭裁判所での手続が必要になります(民法744条1項本文)。

その際には、調停か訴訟、どちらかを選択することになります。

調停では、取消原因に争いがなく、再婚相手との間に子がいる場合には、取消後の親権者にも争いがない場合に限り、「合意に相当する審判」で後婚を取り消してもらえます(家事事件手続法277条、282条)。争いがある場合には、訴訟で判決をもらうことになります。

ーー具体的に、どのような場合に「婚姻取消」を求めることができるのでしょうか。

民法では婚姻取消事由を定めており、その一つに「重婚」があります(民法744条、732条)。今回のケースでは取消原因が明白なので、難なく認められることでしょう。

なお、その他の取消理由としては、不適齢者の婚姻、近親者間の婚姻、詐欺又は強迫による婚姻などがあります。

●夫と再婚相手への慰謝料請求はできる?

ーー相談者によると、夫と再婚した女性は、夫が既婚者であることを知らなかったようです。夫や再婚相手の女性に慰謝料請求をすることはできるのでしょうか。

夫に慰謝料請求をすることは可能です。不貞と、無断で離婚届を提出したことの両方について責任を問えるでしょう。

再婚相手に関しては、夫が既婚者であることを本当に知らず、知らないのは仕方がないと考えられる経緯があれば、慰謝料が認められない可能性もあります。

しかし通常は、交際中に既婚者であることに気づき得るはずともいえますので、二人が知り合った経緯や交際の経過などを慎重に検討する必要があります。

(弁護士ドットコムライフ)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

森元 みのり
森元 みのり(もりもと みのり)弁護士 森法律事務所
東京大学法学部卒業。2006年、弁護士登録、森法律事務所入所。 著書・監修書に、『簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集』(新日本法規)『2分の1ルールだけでは解決できない財産分与額算定・処理事例集(新日本法規 )他。

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