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一人暮らしの親が「認知症」に… 知っておきたい「成年後見制度」の仕組み
画像はイメージです(EKAKI / PIXTA)

一人暮らしの親が「認知症」に… 知っておきたい「成年後見制度」の仕組み

親元を離れて暮らす人にとって、高齢の親の健康問題は気がかりだ。弁護士ドットコムには、認知症の親をめぐる相談が数多く寄せられている。

ある女性は、「健康ですが認知症」という一人暮らしの親のもとへ、姉妹で通い介護をしている。といっても、親に認知症の自覚はなく、「お金を出すのをとても嫌がるので、親には内緒で姉妹それぞれが食費・ガソリン代を自分の財布から出費」している状態だ。

しかし、次第に負担が大きくなってきた。そこで財産管理をどうしたらいいのか、と悩んでいるそうだ。親が認知症になった場合、財産の管理はどのように進めればいいのだろうか。野上真由美弁護士に聞いた。

●民法上は「成年後見制度」

「親が認知症になり、財産管理が必要になる場面は、高齢化社会においてはますます増えることが予想されます。

相談のケースは、本人の判断能力がどの程度が明確ではありませんので、はっきりとお答えすることはできません。普段の本人の様子や実際の金銭管理の状況、介護保険の介護度、お子さんがどのような介護をしておられるかなどの事情、医師の診断等により、利用可能な制度を判断することになります」

高齢者の財産管理については「成年後見制度」がよく知られています。これはどのような制度なのでしょうか。 

「自身で財産管理が難しくなった場合に第三者が財産を管理するための方策として、民法上 は『成年後見制度』が用意されています。家庭裁判所に申し立てができるのは、本人、配偶者、4親等以内の親族などです。

なお、成年後見制度は3つの種類にわかれており、判断能力低下の程度によって利用できる制度が異なります」

●補助、保佐、後見の3種類

具体的にはどのようにわかれているのでしょうか。

「本人の判断能力の低下が少ない方から順に『補助』『保佐』『後見』とわかれています。判断能力が不十分であれば補助か保佐、判断能力が全くない方の場合は後見となります。

成年後見制度は、可能な限り本人の意思や意向を尊重する趣旨がありますので、特に、補助人と保佐人の権限は限られています。

例えば、補助人や保佐人が預金の入出金などを代理するためには、本人の同意を得たうえで、家庭裁判所の審判により代理権を付与してもらう必要があります。そのため、本人の同意が得られない場合は実効ある管理が難しくなることもあります。

後見の場合、自宅の売却等の特別な場合を除いては代理権があり、本人の同意は不要です」

(弁護士ドットコムニュース)

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プロフィール

野上 真由美
野上 真由美(のがみ まゆみ)弁護士 中神戸法律事務所
平成18年10月弁護士登録(59期)。弁護士ドットコムでは離婚・男女問題、債務、労働の 分野に登録し注力。兵庫県弁護士会では高齢者・障害者総合支援センターに所属。

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