弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 離婚・男女問題
  3. 別居後、宝くじ「数百万円」当たっちゃった…夫婦で分けないとダメ?
別居後、宝くじ「数百万円」当たっちゃった…夫婦で分けないとダメ?
画像はイメージです(Graphs / PIXTA)

別居後、宝くじ「数百万円」当たっちゃった…夫婦で分けないとダメ?

購入した宝くじが、まさかの高額当選! 諸手をあげて喜ぶべき状況なのに、憂鬱になっている人が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。その理由は、購入したタイミング。離婚を前提にした別居期間中に、買ったものだったからです。

相談者は現在、離婚調停中です。婚姻費用、養育費の額に影響するのではないかと心配しています。当選額は「算定表の養育費の10年分」とのことで、おそらく数百万円にのぼるとみられます。

そこで「調停で報告しなければいけないですか?」と質問しました。宝くじの高額当選は、婚姻費用、養育費、財産分与に影響するのでしょうか。中西祐一弁護士に聞きました。

●「清算的財産分与」が問題となりやすい

「財産分与については、(1)夫婦が協力して築いた財産の清算(清算的財産分与)、(2)離婚後に生活が困窮する恐れのある配偶者に対する扶養(扶養的財産分与)、(3)慰謝料(慰謝料的財産分与)の3つの要素があるといわれています」

今回のケースでは、どうなりますか。

「特に問題となりやすい(1)清算的財産分与について考えてみます。購入資金がいつのものかで結論は異なります。

財産分与の対象となるのは、『夫婦が協力して築いた財産』ですので、宝くじの購入資金が別居後に入手した資金であれば、財産分与の対象にはなりません。

一方で、購入資金が、夫婦同居中に貯めた貯金のような『夫婦が協力して築いた財産』の場合、『相談者の運のおかげであって、夫婦が協力して手に入れたお金ではない』ともいえそうです。

しかし、東京高等裁判所平成29年3月2日決定は、宝くじの購入資金が夫婦の協力によって得られた収入であれば、当選金も夫婦共有財産として財産分与の対象となる、としています。したがって、宝くじの購入資金が夫婦の協力で得たお金の場合は、調停で報告すべきと考えられます」

●「額の算定にあたって考慮される可能性はある」

別居中の婚姻費用、養育費の金額にも影響しますか。

「婚姻費用・養育費の額については、夫婦双方の収入や子どもの人数・年齢等を基準にして判断されます。婚姻費用や養育費は、一定の期間にわたって支払い続けるものですので、一時的な収入である宝くじの当選金が全面的に考慮されるわけではないと考えられます。

ただ、婚姻費用や養育費の基本的な考え方は、『別居していても、同じレベルの生活ができるようにする』という点にありますので、宝くじの高額当選も、ある程度は額の算定にあたって考慮される可能性はあると思われます」

プロフィール

中西 祐一
中西 祐一(なかにし ゆういち)弁護士 中西祐一法律事務所
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする