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産後7カ月、妻が不倫した 「親権が欲しい」夫ができることは?
写真はイメージです(aijiro / PIXTA)

産後7カ月、妻が不倫した 「親権が欲しい」夫ができることは?

妻が不倫をしました。離婚した場合、父親の私が親権をもらえますかーー。弁護士ドットコムにこのような相談が複数寄せられている。

ある男性は、単身赴任中に妻が不倫をしていたという。男性は親権を希望し、「生後7カ月の子どもがいますが、乳児の親権は母親にわたりやすいと聞きました」と不安げな様子だ。

別の男性は子どもたちへの影響を心配し、不倫をしている妻との離婚を視野に入れているという。男性によると、子ども(小学4年生・男子)は「お母さんはいつもスマホばかりで話をしてくれない」と風呂場で泣きながら不満を漏らしているそうだ。

妻の不倫が原因で離婚することになった場合、親権争いでは夫が有利になるのだろうか。離婚問題にくわしい原口未緒弁護士に聞いた。

●主に子育てをしていた親のほうが、親権者として認められやすい

「結論から言うと、親権者を決める際、不倫の有無は関係ありません。主に子育てをしていた親のほうが、親権者として認められやすいという現状があります」

原口弁護士は、こうキッパリ語る。

「相談者の場合、主にお子さんのお世話をしていたのは、どちらでしょうか。

たしかに、不倫された夫の側からすれば、『不倫するような妻に子どもを預けておくことなんてできるか!』『不倫されて、そのうえ子どももとられたら、踏んだり蹴ったりじゃないか!』と腹立たしいことでしょう。

しかし、子どもの立場にたってみれば、親が不倫をしているかどうかよりも、いつも十分な愛情と安心を与えて育ててくれているかどうかが重要だといえます。

それまで、ずっと一緒にいた親とは離れたくないと思うでしょう。まったく新しい環境で、生活が変わってしまうのは辛いですからね」

●子どもにとって、何が一番よいのか

離婚する原因が妻の不倫なのに、親権には影響しないのだろうか。

「親権の判断は、『子の福祉』が重視されます。すなわち、子どもにとって、何が一番よいかという点が重要なのです」

このように原口弁護士は説明する。

「子どもの立場にたって考えてみると、これまで主に自分の世話をしてくれて、一緒にいる時間が長かった親と一緒にいるほうが安心できる、ということになります。そのため裁判所では、虐待などの問題が特にないかぎり、『現状維持』の観点から親権者を決めることが多いのです」

●親権は「子どもとより多くの時間を接していた方の親」に

相談者の1人は、子どもが「乳児」であることから、親権は母親にわたるのではないかと心配している。

「乳児だから母親が親権者になる、というわけではありません。主に子どもの世話をしているのが母親という家庭が多いからこそ、結果的に母親に親権がわたっているだけなのです」

では、父親が主に世話をしていれば、親権者は父親となるのだろうか。

「もちろん、そうなります。実際、私のところにご相談にいらした男性で、妻は子どもを産んでから授乳だけはしていたものの、あとのお世話はほとんどその男性がしていたという家庭がありました。

このご夫婦はお子さんが3歳のときに離婚したのですが、夫婦で争うこともなく、当然のように親権者は父親となったそうです。

このように、裁判所は、親権者を決める際は『子どもを主にお世話していた方の親』という考え方をとっているようです」

原口弁護士は相談者にアドバイスを送る。

「親権者になることは、離婚後ひとりで子どもたちの世話をすることになります。ゴールは裁判所に親権者として認めてもらうことではないのです。であれば、離婚後を見据えて、子どもたちの世話をしていく必要があります。

一人といっても、ベビーシッターや地域の育児サービスを利用する、実家に支援をしてもらうなど、工夫をすればいくらでも方法はあるかと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

原口 未緒
原口 未緒(はらぐち みお)弁護士 弁護士法人 未緒法律事務所
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

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