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借金まみれの元夫 子どもに借金を背負わせないためには?
写真はイメージです(EKAKI / PIXTA)

借金まみれの元夫 子どもに借金を背負わせないためには?

借金まみれの夫と離婚できたとしても、心配は尽きないようです。ある女性は「子どもが借金を背負うことにならないか不安です」と弁護士ドットコムに相談を寄せています。

浪費癖があり、多額の借金を抱える夫と離婚したという相談者。元夫やその親族とは音信不通だといいます。「元夫が亡くなったとしても、それを知る術はありません。多額の借金を残して元夫が亡くなった場合、子どもが心配です」と不安な様子です。

相談者以外にも、ネット上には「元夫の借金を子どもに背負わせたくない」「回避する方法はないのか」などと心配する声が少なくありません。元夫の借金を子どもに背負わせないために、できることはあるのでしょうか。相続に詳しい加藤剛毅弁護士に聞きました。

●3カ月の熟慮期間が経過した後でも相続放棄できる場合も

ーー督促状が子どもに届いたことで、元夫(子どもからみて父)が亡くなったことを初めて知ることもありえます。このような場合はどのように対応すればよいのでしょうか

「亡くなった父(被相続人)の相続人である子が被相続人の負債を相続したくない場合は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申述(申述書の提出)をすれば、負債を相続しなくてすみます。

しかし、この3カ月の熟慮期間が経過した後に、被相続人が多額の債務を負っていたことが判明する場合もあります。

実務では、このような場合でも一定の要件を満たせば、家庭裁判所が相続放棄の申述を受理する場合がありますので、安易に諦めないことが大切です。また、相続する財産の調査に時間がかかりそうな場合など特別な事情があれば、3カ月の熟慮期間自体を伸ばすことができる場合もあります」

ーー子どもが成人か未成年かによって、相続放棄の手続きはちがうのでしょうか

「子どもが成人している場合は、自ら相続放棄の手続をすることができます。子どもが未成年の場合は、法定代理人であり親権者である母がおこなうことになります。

具体的には、まず子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄のための特別代理人選任の申立てをおこないます。そして、家庭裁判所から選任された特別代理人が、子の代理人として家庭裁判所に相続放棄の申述手続をすることになります」

●元夫の生前に借金があるか否かを調査することは「極めて困難」

ーー元夫にどれだけ借金があるかを調べる方法はあるのでしょうか

「元夫が亡くなった後であれば、相続人である子どものもとに届く債権者からの通知書などをもとに、調査することが考えられます。

しかし、元夫の生前に、元妻または子どもが元夫の借金の有無などを調査することは極めて困難です。金融機関などから借入れがあるか否か、あったとしていくらあるのか、などの情報は個人情報の最たるものですから、金融機関や信用情報機関に情報の開示請求をしたとしても、個人情報保護法を根拠に回答を拒絶されるでしょう。

もっとも、元夫が会社経営をしている場合には、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社から会社の財務諸表などの情報を有料で取得することで、ある程度は負債の有無や金額について知ることができる場合があるかもしれません」

ーーほかに、元夫の借金を子どもに相続させないためにできることはあるのでしょうか

「さきほど述べたように、元夫が存命の間は、元夫が借金をしているかどうかについて調査する有効な手段がありません。

そのため、元夫が亡くなった後、相続人である子ども宛てに債権者から送られてきた通知書などを手がかりにして調査し、負債が多いようであれば、3カ月以内に相続放棄の手続をすることが大切であると考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

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