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恋多き「バツ2」アラフィフ既婚男性、2度も浮気「妻に慰謝料払わず離婚したい」
写真はイメージです(プラナ/ PIXTA)

恋多き「バツ2」アラフィフ既婚男性、2度も浮気「妻に慰謝料払わず離婚したい」

2度の離婚を経験し、現在の妻とは3度目の結婚だという恋多き50代の男性が「妻と別れて、今付き合っている女性と結婚したい」と悩んでいる。

男性は10年前に現在の妻(当時30代・OL)と結婚した。妻との間に子どもはいない。男性は「妻は毎日缶ビールを12本飲み、家事もしませんでした。まるでおっさんと同居しているようで嫌になり、セックスレスになりました」と説明する。

結婚から3年後、趣味を通じて知り合った8歳年下のリョウコさんと2年間交際。リョウコさんの妊娠を機に妻に離婚を迫った。しかし、妻の同意は得られず、リョウコさんは堕胎し、別れることになってしまった。

「毎日虚しさを感じていた」という男性は、リョウコさんと別れた2年後、飲み屋で出会った15歳年下のミナミさんと交際をはじめた。ミナミさんを連れて妻に離婚を迫ったが、妻は「離婚はしない」と拒否。これに腹を立てた男性は、妻を家から追い出したという。

それから半年後、妻が離婚調停を申し立てた。「やっと離婚できると思いましたが、妻は『2度の不貞でうつ病になった』、『子どもを望めない年齢になった』などと主張し、300万円の慰謝料を請求してきました。自分はなにも悪くないので、支払いたくありません」と男性は納得できないようだ。

男性は慰謝料の支払いを免れることはできるのか。もし慰謝料を支払うことになった場合、300万円は妥当な金額といえるのか。離婚問題に詳しい寺林智栄弁護士にきいた。

●「残念ながら、男性が慰謝料の支払いを免れることはできないでしょう」

ーー男性は「自分はなにも悪くない」と考えている。妻が缶ビールを12本飲むことや家事をしないことなどを理由に、慰謝料を免れることはできるのだろうか。

「この男性は、婚姻破たんの原因が妻にあると言いたいのだと考えられますが、現在の日本の法律や離婚の実務からみて、そのように主張することはできません。残念ながら、男性が慰謝料の支払いを免れることはできないでしょう。

確かに、妻が缶ビールを毎日12本飲む点については、やや病的なものが感じられますが、それで何か実質的な不利益が生じたわけではなく、単に男性が『おっさんと暮らしているみたいだ』と主観的に思ったにすぎません。

また、家事を妻がしないと主張していますが、家事を妻がしなければならないというルールはそもそもありません。このような考え方は、男女平等という現代の法理念に反するものでもあり、離婚理由として認められるものでは到底ありません」

ーー男性は「妻と一緒にいたくない」と思いながら毎日を過ごしてきた。このような事情は考慮されないのだろうか。

「そもそも夫婦には相互に貞操義務があり、それに反する行動を2度も行ったのはこの男性のほうです。『妻と一緒にいたくない』と『他の女性と結婚したい』はイコールではありません。『妻と一緒にいたくない』からといって、離婚前に他の女性と性交渉に及ぶことは、法的に認められないのです。

この夫婦については、男性の方が離婚原因を作った『有責配偶者』に該当すると言わざるを得ません。ですので、慰謝料の支払いを免れることはできません」

●慰謝料300万円「妥当ではないか」

ーー妻が請求してきた慰謝料の金額は300万円だ。男性は高額な請求に驚いているが、この金額は妥当なのだろうか。

「不貞が2度あり、かつ2度とも妻に離婚を迫ることまでしていますので、300万円という金額は妥当ではないかと考えます。

ただし、この点については、弁護士によって見解が分かれるかもしれません」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

寺林 智栄
寺林 智栄(てらばやし ともえ)弁護士 NTS総合弁護士法人札幌事務所
2007年弁護士登録。札幌弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)、ともえ法律事務所(東京都中央区日本橋箱崎町)、弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)を経て、2022年11月より、NTS総合弁護士法人札幌事務所。離婚事件、相続事件などを得意としています。

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