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スマホPW無断変更の法的問題…ホスト「営業できない」と妻を訴えるも敗訴
画像はイメージです(metamorworks / PIXTA)

スマホPW無断変更の法的問題…ホスト「営業できない」と妻を訴えるも敗訴

大阪市内のホストクラブに勤めるホストの男性(26)が、スマホのパスワードを別居中の妻に無断で変えられたために営業損害を被ったとして、別居中の妻(26)に200万円の損害賠償を求めていた裁判の判決で、男性側の訴えが退けられた。

神戸新聞NEXT(5月31日)によると、男性のスマホは一時期、別居後の妻らの手元にあり、戻ってきたときにはパスワードが変更されていたという。このスマホには300ー400人程度の顧客情報が登録されており、男性は、営業をすれば少なくとも100人の来店、100万円以上の利益が見込めていたと主張。これに対し、妻はパスワードの変更を否定していたという。

訴えが退けられた理由は、「(妻が)パスワードを変更するなどして(スマホを)使用できない状態にしたとまで認められない」だという。

今回は、認められなかったが、一般論として、他人のスマホのパスワードを無断で変更することに違法性はないのだろうか。浅野英之弁護士に聞いた。

●民事上の損害賠償請求や刑事罰の対象になる可能性

今回の裁判のように、スマホをめぐる男女トラブルは多いのだろうか。

「男女関係、夫婦関係のトラブルでは、LINEの盗み見、削除など、スマホが絡むことがよくあります。これは、重要な情報がスマホに集中して保管されていることが多いためです」

パスワードを無断で変更することに違法性はあるのか。

「他人のスマホを勝手に見たり、ましてやパスワードを変更してしまったりすることは、プライバシー侵害を理由として慰謝料を請求されてしまったり、不正アクセス禁止法違反によって刑事罰を科されるおそれがあります。

不正アクセス禁止法では、パスワードは『識別符号』と呼ばれ、他人の識別符号を取得する行為、他人に提供する行為、保管する行為、入力を不正に要求する行為などが禁じられています。そして、これらの禁止行為の違反に対して『1年以下の懲役又は50万円以下の罰金』を科すことを定めています。

つまり、『パスワードを勝手に変更する行為』を禁止するという直接の定めはないものの、それ以前に他人のパスワードを取得し、保管する行為もまた禁止されているわけです。

また、パスワードを入力してスマホの中身を見た時点で、プライバシー侵害を理由に民事上違法となり、損害賠償を請求されるおそれがあります」

●SNSのパスワード無断変更も処罰されることがある

スマホ本体ではなく、SNSのパスワードを無断で変更した場合はどうなるのか。

「スマホの場合、ネットワークを経由しなくてもパスワードのロックを解除し、パスワードを変更することができる場合も多いでしょう。一方、他人のLINEやFacebookのパスワードを変更する場合には、ネットワーク経由で行うこととなります。

この場合には不正アクセス行為として、不正アクセス禁止法によって『3年以下の懲役又は100万円以下』を科される可能性があります」

(弁護士ドットコムニュース)

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

浅野 英之
浅野 英之(あさの ひでゆき)弁護士 弁護士法人浅野総合法律事務所
離婚・交通事故・刑事事件・相続など個人のお客様のお悩み解決実績、相談件数を豊富に有するほか、労働問題を中心に多数の企業の顧問を務める。銀座駅(東京都中央区)にて、弁護士法人浅野総合法律事務所を設立、代表弁護士として活躍中。

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