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離婚前の住宅に住み続けたい! 元夫からの支払い不安を「公正証書」で解消【体験談】
写真:プラナ / PIXTA(ピクスタ)

離婚前の住宅に住み続けたい! 元夫からの支払い不安を「公正証書」で解消【体験談】

離婚後の生活では、住宅は大きな問題となります。どこに住むのか、費用は負担できるのか。子どもの通学の利便性なども考慮に入れると、離婚前の住宅に住み続けることが一番ベストな選択となることもあります。

弁護士ドットコムに体験談を寄せた女性の場合、離婚前の住宅に住むことになりました。夫から子ども2人の養育費をもらわない代わりに、夫が住宅ローンを払うという条件で離婚したそうです。ただし、住宅ローンは共同名義で、月々の返済額はあくまで同額。さらに「ボーナス時の支払い分、固定資産税なども私が支払っています」。

離婚は2年前でしたが、確実に支払ってもらえるのか、夫がいつか家に来るのではないか、と心配になっています。離婚は、夫の借金癖が理由でした。そのため「今後、元ダンナが住宅ローンを払ってくれるものか不安が残っています。また、家の支払いをしているから、住む権利が俺にもある、と押し掛けられそうで怖い」と考えています。

女性は「公正証書など必要でしょうか」と話します。このような場合、どのような手続きが必要なのか。また、住んでいない元夫が「養育費のかわりに」住宅ローンの返済をし続けることに問題はないのでしょうか。鳥生尚美弁護士に聞きました。

●離婚をする時点で、共有関係を解消するのがベスト

「この方の場合、住宅ローンは夫婦で組んでいるようなので、おそらくマンションも共有名義だと思われます。将来的にマンションを処分する場合には、元夫と一緒に売却の手続をしなければならなくなります。

可能であれば、離婚をする時点で、ローンの連帯債務関係及び共有関係を解消しておくのが一番です。もっとも、それには銀行の了解が必要で、新たに債務者になる人の収入の問題もあり、難しいケースが少なくないのは確かです」

ーー体験談を寄せた人の場合、離婚後も、元夫は自分が暮らしていない家の住宅ローンを払い続けているそうです。このことは法的な問題はないのでしょうか。

「住宅ローン契約の中には、契約者がその住居に居住しなければならないという規定があることが多く、これに反すると一括返済を求められるという規定がある場合があります。もっとも、問題なく返済を継続している限りは現実に問題になることは考えにくいです」

●約束どおり、支払ってもらうためには?

ーー約束どおり支払いをしてもらうため、相談者は公正証書の作成を検討しているそうです。

「『養育費の支払に替えて住宅ローンの返済をする』という内容で公正証書を作ったとしても、それによって元夫の銀行への返済を強制的に実現することはできません。 

そこで、元夫から相談者に対して、養育費として返済額相当を支払ってもらい、相談者が銀行に元夫のローン返済をする(実際は引落口座の通帳等を預かって、そこに元夫から支払われたお金を入金して引落を管理する)という方法も考えられます。

公正証書を作成しておけば、仮に元夫からの返済が滞った場合でも、当然、養育費として給与差押などの強制執行ができます。加えて、『元夫は、相談者と子が無償でマンションに居住することを認める』という条項を入れておくと安心でしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

鳥生 尚美
鳥生 尚美(とりゅう なおみ)弁護士 あけぼの綜合法律事務所
早稲田大学法学部卒業。2006年弁護士登録(第二東京弁護士会所属) 日本司法支援センターの常勤弁護士を経て、あけぼの綜合法律事務所を開設。 中心業務は離婚・相続などの家事事件、とりわけ子の親権、監護者指定、面会交流、養育費等離婚問題の中での子どもに関する事案を多数取り扱っている。

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