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どんな夫婦が離婚しない? 円満な結婚生活の送り方、弁護士が教えるヒント
(asaya / PIXTA)

どんな夫婦が離婚しない? 円満な結婚生活の送り方、弁護士が教えるヒント

夫婦円満な生活を送るためにも、できれば事前にトラブルの芽は摘んでおきたいものです。そこで、年間100件以上離婚・男女問題の相談を受けている中村剛弁護士による「弁護士が教える!幸せな結婚&離婚」をお届けします。

連載の第14回は「離婚を防ぐ円満な結婚生活の送り方」です。離婚というのは、ある日突然起こるものではなく、日々の不満の積み重ねで至るものです。中村弁護士によると、特に、家事や育児についてのすれ違いから始まることが多いといいます。

そもそも、結婚するならどんな異性が良いのか。そして、結婚生活を円満に続けていくためのヒントを教えてもらいました。

●離婚のきっかけは「ささいなこと」

私は、今まで多数の離婚の相談を伺ってきました。ご相談をうかがう中で、よく「離婚のきっかけはささいなことが多い」ということを感じます。

最終的には、不貞行為や暴力行為などに及んでしまい、そこから婚姻関係破綻に繋がることがありますが、最初のきっかけはとても小さなものから始まることが多いです。

特に、よくあるのが、「相手が家事や育児をしてくれない」「相手の家事や育児のやり方が気に入らない」「相手から自分の家事や育児のやり方について文句を言われている」などです。

家事や育児は、ささいなことのように思えますが、毎日のことなので、相手がやってくれなかったことや、やり方について非常に気になってしまうものです。それが積もり積もって、最終的に何かしらの形で爆発してしまうのです。

不貞行為や暴力行為などに至らない限り、これらのことが法律上の離婚原因にあたったり、慰謝料を発生させるようなことになることはほとんどありません。ただ、これらがきっかけで、夫婦仲が不仲になり、別居、そして離婚に至ってしまうことが多々あることもまた事実です。

このような事態を避けるために、どうしたらいいのか、様々な考えがあると思いますが、私なりの考えを述べたいと思います。

●結婚するならこんな異性

まず、そもそも、結婚する相手選びからです。

結婚前の恋愛の時期は、毎日の共同生活のことよりも、「楽しいこと」が目に映りがちです。同棲していないのであればなおさらです。そのため、ロマンチックな出来事や、ドラマチックな出来事に心が惹かれがちです。

夜景の綺麗な場所、普段行けないような高級レストラン、きらきら輝く高級アクセサリー、あっと驚くサプライズプレゼント…。このようなものが恋愛を彩ることは間違いありません。

しかし、結婚してからは、そのようなロマンチックな出来事や、ドラマチックな出来事よりも、毎日の生活の方が重要になります。毎日、顔を合わせて共同生活を送っていると、一方に負担が偏って、他方が楽をしている(ように見える)と、段々と不満が溜まってきます。

たまに訪れるイベント(誕生日やクリスマスなど)で多少は挽回できても、そのような感動も徐々に薄れ、毎日の生活でストレスを溜めないことの方が重要になります。

そのために必要なのは、共同生活をおくる上で、「共同のタスク(家事や育児など)」をそつなくこなしていけることだと思います。

例えば、毎回食後に食器を洗って片付けてくれる人、何も言われなくても洗濯をしたり、洗濯物を畳んで片付けてくれる人、部屋の掃除をこまめにやる人、ゴミをまとめて捨ててくれる人…などです。

これらは、とても地味なことではありますが、毎日のように発生するため、これらをそつなくこなせる人は、結婚生活に向いていると思います。「そつなくこなす」というのは、それらがさほど苦になっておらず、自然にこなせるような人です。そのため、結婚相手は、一時的にサプライズを頑張る人よりは、家事などをそつなくこなせる人を選ぶことをお勧めします。

逆に言えば、自分があまり家事をやらない人の場合、結婚相手に多大なストレスを与えてしまう可能性があり、将来的に離婚されるかもしれないことは覚悟しておいて下さい。

●結婚生活を送る上で大切なこと

(1)相手の家事・育児のやり方に文句を言いすぎない

次に、結婚した後の生活について述べます。

家事・育児のやり方は、本当に人によって千差万別だと感じます。食器の洗い方・片付け方、洗濯物の干し方・畳み方、部屋の掃除の仕方、ゴミの分別方法など、それぞれにこだわりがある人は大勢います。

しかし、結婚相手が同じやり方であるとは限りません。ときには、自分と違うやり方に違和感を覚え、相手に「そのやり方はおかしい!」と文句をつけたくなるときもあるかもしれません。

そんなときは、いったん立ち止まって下さい。どちらのやり方が正しいとは必ずしも言えないことも多々あります。自分のやり方が絶対的に正しいと思い込んでいないか、改めて考えてみて下さい。

そして、仮に自分の方が正しいとしても、それを「相手と離婚する可能性を上げてまで言わなければならないことか」ということは、今一度考えてみて下さい。

既に述べたとおり、家事・育児のやり方の違いがきっかけで、離婚に至るケースは多々あります。子の命に関わるようなことであればやむを得ませんが、そうでないのであれば、離婚する可能性に賭けてまで、相手の家事のやり方を矯正しなければならないケースはそこまで多くないはずです。

長年、染みついた習慣を修正するのはなかなか難しいです。どこまでを直して欲しいのか、ということを改めて考えてみて下さい。

(つむぎ / PIXTA) (つむぎ / PIXTA)

(2)正しいかどうかは関係ない

また、相手の言っていること、やっていることが間違っていると感じたときに、つい相手に説教めいたことを言いたくなるときもあると思います。

しかし、仮にあなたの言っていることが正しくても、相手はやり込められるとストレスが溜まってしまいます。逆に、正しいからこそ、反論ができず、ストレスはより溜まってしまうこともあります。それが積もりに積もって、いつか爆発しかねません。

これも同様に、離婚する可能性に賭けてまで、その間違いを正さなければならないか、ということは一度自問してみてもいいと思います。多少、間違っていても、致命的な間違いでなければ、共同生活にさほど支障はありません。

(3)寛容さが重要!

結婚生活を送る上で、重要なのは、ある程度の「寛容さ」だと思います。お互いが違う人間で、違う環境で育ってきたからこそ、様々な点で違いが生じます。結婚生活を送る上では、それをお互い受け入れることが重要です。

共同のタスクをそつなくこなし、お互い寛容さをもって結婚生活を送っていれば、かなりの離婚は防げるのではないかと思います。離婚相談を多数扱っている者の一意見として、頭の片隅にでも置いていただければ幸いです。

(中村剛弁護士の連載コラム「弁護士が教える!幸せな結婚&離婚」。この連載では、結婚を控えている人や離婚を考えている人に、揉めないための対策や知っておいて損はない知識をお届けします。)

プロフィール

中村 剛
中村 剛(なかむら たけし)弁護士 中村総合法律事務所
立教大学卒、慶應義塾大学法科大学院修了。テレビ番組の選曲・効果の仕事を経て、弁護士へ。「クライアントに勇気を与える事務所」を事務所理念とする。依頼者にとことん向き合い、納得のいく解決を目指して日々奮闘中。

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