「妊娠10ヶ月なのに喧嘩した彼氏が実家に帰ってしまい、困っている」という相談が、弁護士ドットコムに寄せられています。
女性は既に4人の子どもがいますが、更に現在の彼氏との間に新たな子どもを授かりました。彼氏とは7カ月間、同棲しており、「籍を入れる約束(結婚する約束)」もしていました。
しかし彼氏と些細なことで喧嘩をした結果、彼氏が実家に帰ってしまったそうです。連絡も全て拒否されましたが、何とか彼氏の友達経由で連絡を取ると「関わりたくない」「本当にオレの子か?」などと言われ、女性の話を聞き入れてくれません。
女性は今の状況は、男性からの婚約破棄ではないかと考えています。このようなケースで、女性は相手に何を請求できるのでしょうか。西山良紀弁護士に聞きました。
●ポイントは「婚約成立」の有無
——結婚を約束しながら、突然、破局してしまった今回のようなケースで慰謝料はもらえるのでしょうか
婚約が成立していれば、相手方に婚約破棄に対する慰謝料を請求することができます。
しかし、「籍を入れる(結婚する)約束」との記載がありますが、「いつかは籍を入れようね」という程度の約束なのか、「おなかのなかの子どもが生まれるまでに籍を入れよう」というような確定的な約束なのかわからないので、婚約が成立していたといえるかどうかはわかりません。
「両親のところに結婚の挨拶に行った」「婚約指輪を購入した」等、2人の間でどのような事実があったのか、LINEやメールにどのような履歴が残っているのかを確認して、弁護士のところに相談に行くとよいと思います。
●認知や養育費を求めて調停で決めることもできる
——今回のケースで、女性は相手に対して請求できることはないのでしょうか
相手方に生まれた子どもの認知と養育費を求めることができます。
養育費については裁判所が作成した「算定表」があり、双方の収入や子どもの年齢、人数に応じた相場が記されています。交渉前に、算定表に従うと貰える養育費がいくらか調べておくとよいと思います。
なお、今回の相談事例では、相手方が「関わりたくない」「本当に俺の子か?」と言っていること、連絡をすべて拒否していることなどから、当事者間の交渉で解決することは困難かもしれません。
交渉が上手くいかないときは、認知の調停申立て、養育費の調停申立てなど、裁判所を利用して下さい。相手方との間で合意ができなくても、最終的には、裁判所で認知や養育費の金額を決めることができます。