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2020年09月03日 10時08分

「本気なら離婚して」冗談が招いた「泥沼のW不倫劇」…慰謝料請求の行方は?

「本気なら離婚して」冗談が招いた「泥沼のW不倫劇」…慰謝料請求の行方は?
写真はイメージです(アオサン / PIXTA)

「君のせいで離婚したのに許さない。訴えてやる」。別れた不倫相手にこう言われたという既婚女性が、弁護士ドットコムに相談を寄せている。

相談者は、不倫相手の男性とW不倫を1年ほど続けていた。男性に好意はあったものの、夫と離婚し、男性と再婚する未来を思い描いたことはなかったという。

ある日、酒の席で男性に「本気で好きだ」と言われた相談者は、酔った勢いで「信用できない。本気ならば離婚して」と言い返した。

この言葉を真に受けた男性は妻と離婚。妻との間には幼い子どももいるが、男性は離婚後に我が子に会いに行くこともなかった。男性が離婚届を出すと知った相談者は、何度も思いとどまるように説得したが、耳を貸してもらえなかったという。

それから様々な要因が重なり、相談者は男性との別れを決意した。しかし、別れを告げると男性は激怒。「僕の子どもは君のせいで不幸になった」「許すことはできない」「君が言ったことや書いたことはすべて残している」「今すぐ夫と離婚して」などのメールがひたすら送られてくるようだ。

男性が相談者に対して慰謝料請求をしてきた場合、認められる可能性はあるのだろうか。下大澤優弁護士に聞いた。

●男性からの慰謝料請求は認められる?

ーー男性から相談者に対する慰謝料請求が認められる可能性はありますか

男性から相談者に対する慰謝料請求は、不貞当事者内部での慰謝料請求という、やや特殊なものです。そもそも、不貞行為は民法上の不法行為に該当するものであり、このような不法行為に加担した当事者間での慰謝料請求は認められないことが原則です。

ただ、不貞当事者内部での慰謝料請求を認めた裁判例(最高裁判所第2小法廷昭和44年9月26日)もあります。同判決は、次のように判示しています。

不貞当事者の一方(「A」とします)が他方(「B」とします)に対して嘘をつき、BがAの嘘を信じたことによって不貞関係が開始されたとします。

この場合、不貞関係を開始した動機や嘘の内容等を考慮し、不貞関係を誘起した責任が主にA(嘘をついた側)にあり、Bの不法の程度に比べてAの違法性が著しく大きいと評価できるのであれば、BからAに対する慰謝料請求が認められると同判決は示しています。

ーー今回のケースでは、相談者が男性に対して「本気ならば離婚して」と発言し、男性がこれを真に受けて妻と離婚しています。相談者は男性と再婚する気持ちはなかったようですが…

たしかに、この事情のみに着目すると、相談者に落ち度があったとも思われます。

しかし、今回のケースはそもそもW不倫であり、このような関係が不法であることは男性も承知していたはずです。また、相談者は、男性が本気で離婚届を出そうとしていることを知った際には思いとどまるよう説得をしており、男性は、相談者が男性との再婚を望んではいないことを認識できたはずです。このことからすると、男性と比べ、相談者の違法性が著しく大きいとはいい難いでしょう。

よって、今回のケースでは、男性が相談者に対し慰謝料請求をしたとしても、認められる可能性はないと考えてよいでしょう。

●「ストーカー行為」にあたる可能性も

ーー相談者は男性のメールに精神的に参っている様子です。男性が相談者に対し、ひたすらメールを送信する行為はなんらかの犯罪にあたる可能性はあるのでしょうか

ストーカー行為等の規制等に関する法律(いわゆる「ストーカー規制法」)によって禁止された「ストーカー行為」に該当する可能性があります。

もし、相談者が男性に対してメールを送信しないよう告げていたとすれば、相談者の意思を無視してメールを送信する行為は、ストーカー規制法2条1項5号の行為(電子メールの送信)に該当し、「つきまとい等」と評価されます。

そして、男性がこのような「つきまとい等」行為を反復しておこなえば、同法2条3項に定められた「ストーカー行為」に該当し、同法18条による罰則(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象となり得ます。

その他、男性の言動がエスカレートし、相談者に害を与えることを告げるようになると、脅迫や強要といった刑法犯に該当する可能性もあります。

取材協力弁護士

下大澤 優弁護士
2012年司法試験合格、2014年に弁護士登録。勤務弁護士を経て2016年に定禅寺通り法律事務所(仙台市)を開設。離婚・男女関係のトラブル(婚約破棄等)に注力している。

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