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【嫁の法律相談】義母の「同居して欲しい」攻撃を断ることはできる?

うまくいっているのは、離れて暮らしているからーー。そんな本音を隠しつつ、無難に「嫁」をやってきたのに「同居して、老後の面倒をみて欲しい」と言われたら? きっぱりと「同居できません」と伝えて良いものかどうか、鈴木軌士弁護士に聞きました。

 

Q. 「同居を断ることは、法律上できるんですか?」

夫と2人で暮らしています。子どもはいません。

年金暮らしの姑が同じ県内にいるのですが、貯金ができない人です。法事や入院費を無心されてきましたが、最近「老後の面倒をみて欲しい」「同居して欲しい」と言ってきます。

主人は次男で、義兄のお嫁さんからは「お姑さんの面倒はみられない」とはっきり言われているそうです。

でも、うちもマイホームを建てたばかり。ローンを抱えており、老後の面倒をみる余裕はありません。

つまり、ない袖はふれないのです。事前に断ることは、法律上できるんでしょうか?

A.  「法的には」問題ありません

相談者は「夫は次男である」とのことです。しかし、次男か長男か、息子か娘かを問わず、法律上、子は親に対して扶養義務を負います。

これだけを見ると、法律上、同居を断ることはできないようにも思われます。

しかし、子の親に対する扶養義務を「生活扶助義務」といいます(民法877条1項)。これは、夫婦間(民法752条、760条)や未成熟子に対する父母の扶養義務(民法820条)である「生活保持義務」とは異なるものです。

「生活保持義務」は、扶養義務者自身の収入、資産を使って被扶養者(配偶者や未成年の子ども)に、自身と同程度の生活を保障する義務です。

これに対し「生活扶助義務」は、被扶養者が何らかの事情で生活不能となった際に、扶養義務者が、自身の地位相応の生活を維持して、『なお余裕のある』場合に、その範囲で援助をする義務です。

ご相談者のケースでは、上記「なお余裕のある場合」にあたるとは到底考えられませんので、生活扶助義務である限りは、扶養義務は負いません。

しかしこれは、あくまでも法律上の扱いです。

「実の」か「義理」かはともかく「親子」なのですから、道徳上や倫理上は、やはり同居して面倒を看てあげた方が望ましい、とは言えるでしょう。

親族間で決着がつかなかった場合、扶養を必要とする者が、親族に扶養を求める「扶養請求権」という権利があります。「扶養請求権」は以下のような流れで話し合われていきます。

1)当事者間で協議
2)協議が整わなければ調停
3)調停も成立しなければ審判

具体的には、上記の「生活扶助義務」について、家裁が関係当事者間の負担の衡平を図る見地から、扶助の期間・程度、各当事者の出資額、資力等の事情を考慮して定めることができるとされています(東京高決昭61.9.10判時1210-56・判7637-189を参照)。

特に、上記の「生活扶助義務」については「生活保持義務」以上に、関係当事者の収入状況等の個別事情をより判断材料にする必要があるものと思われます。

そのため、諸事情を考慮に入れて柔軟な判断ができるよう、最終的な判断者が家裁となるのです。

なお、扶養義務者間での、過去の扶養についての分担額の決定も、地裁でなく家裁の審判によるべきとされています(最判昭42.2.17民集21-1-133)。

これも、個別事情を判断材料にする家裁の特色に加えて、扶養の問題は、統一的な審判手続で処理することに実益があると考えられているからです。

取材協力弁護士 鈴木 軌士 (すずき のりし)弁護士
専門は不動産だが、不動産等が関係する相続や離婚等も得意としており、扱い事件等も多い。「依頼者の心からの満足」を業務目標として掲げているため、金銭的に解決することはもちろん、メンタル面でのフォローにも最大限努めている。
弁護士法人タウン&シティ法律事務所

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