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2016年02月06日 10時55分

特別養子縁組の「準備期間」にも育休を認める法改正案ーー弁護士「養親の増加に期待」

特別養子縁組の「準備期間」にも育休を認める法改正案ーー弁護士「養親の増加に期待」
写真はイメージ

厚労相の諮問機関である労働政策審議会の分科会は1月中旬、特別養子縁組を準備中の養親にも「育児休暇」の取得を認めることを盛り込んだ育児・介護休業法の改正案をまとめた。厚労省は今国会に改正案を提出して、来年1月の施行を目指す。

現在の制度では、実の子であれば、原則として、子どもが1歳になるまで育休を取得できる。一方、「特別養子縁組」の親(養親)は、縁組を成立させるために、迎え入れる子どもを6か月以上試験的に養育する必要があるが、この間は育休をとることができないため、共働き家庭にとっては、大きなハードルになっていた。

今回の改正が実現すれば、共働き家庭でも養親になりやすくなることが期待されている。なぜこうした「試験養育期間」が設けられているのか。また、今回の改正案をどう考えればいいのか。家族の法律問題に詳しい田中真由美弁護士に聞いた。

●適格性や相性を判断するために「試験養育期間」が必要

「特別養子縁組とは、原則として6歳未満の子どもの福祉のために特に必要があるときに、その子と実親との親子関係を消滅させ、養親との間に法的な親子関係を結ぶことができる制度です。

特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が、養子となる者を6か月以上の期間、監護した状況を考慮しなければなりません(試験養育)(民法817条の8第1項)」

なぜ、試験養育期間が必要なのだろうか。

「特別養子縁組は、実の親子関係を切断して、養親と子との間で、容易に離縁できない実の親子関係と同様の関係を作る制度です。

そのため、家庭裁判所は、親になるために必要な監護能力やその他の適格性が、養親になろうとする者に備わっているのかを厳しく判断します。また、養親になる者と養子になる者の和合可能性(相性)を判断する必要があります。

こうした判断をするために、試験養育期間が必要とされています」

●法律上の子に準じた扱いを認める

なぜ、これまでは試験養育期間中の育児休暇が認められなかったのか。

「現在の育児・介護休業法は、原則として子が1歳になるまで育休を取得できることを定めています。ただ、この『子』は法律上の子に限られており、試験養育期間中の子どもはこれに該当しないとされていました。そのため、0歳の養子を迎える親は、育て始めの半年以上は育休を取得できませんでした。

厚生労働省によれば、民間企業で、特別養子縁組の試験養育期間中の育児休業を認めているところはわずか9%という低い数字になっています

今回の改正案は、このような問題の指摘を受けて、試験養育期間中の育児休業について法律上の子に準じた扱いを認めるもので、評価すべきです。

今回の改正によって、養親の希望者が増え、子どもたちがよりよい環境で暮らせるようになることが期待されます」

(弁護士ドットコムニュース)

田中 真由美弁護士
「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。熊本県弁護士会両性の平等に関する委員会、子どもの人権委員会所属。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
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