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「あなたが裏切った時のため」妻が「ウソのDV日記」執筆…離婚裁判で証拠になる?

都内のIT企業に勤めるKさん(30代)は、妻が密かにつづっているという「DV日記」の存在に戦々恐々としています。

Kさんは結婚して5年目。子どもはいませんが、妻とは仲良くやっているつもりです。もちろん、暴力をふるったことは一度もありません。そんな妻が「ウソのDV日記」を書き綴っていると告白したのです。

ある日の夕食時、Kさんはふと「もし自分が浮気をしたらどうする?」と質問してみました。すると妻から「あなたがそういう悪さをしたときのために、私は結婚してからずっと、『こんなDVを受けた』という日記を書き続けている」と衝撃的な答えがかえってきたのです。

継続して書き続けている理由は、「継続的に書いていた方が証拠として信用されやすいって聞いたから」とのこと。その手法のひとつを聞くと、何かケガをしたり、アザができたりした場合、その様子をスマホで撮影し、「●月●日、●●で殴られた」といったメモとともに記録しておくそうです。

Kさんは浮気するつもりなどありませんが、もし妻との関係が悪化して離婚の裁判になったような場合、そうした日記が証拠として提出されることを心配しているそうです。いざという時、こうした日記が証拠として採用される可能性はあるのでしょうか。能登豊和弁護士に聞きました。

 ●そもそも日記は裁判の証拠になるの?

離婚訴訟等では、証拠となり得る文書に限定はないので、日記帳も証拠となります。

ただ、日記帳を書いたのが妻以外の人であることが判明すれば、日記に書かれている内容が妻の経験した事実と認められることはありません。

また、妻が書いた日記帳だとしても、その内容の信用性は、記載の時期や体裁・内容、具体性、DVに関わる記述以外の記述の内容等の事情を考慮して判断されます。

一般的に、その人に不利な事実が書いてある日記や、トラブル以前から日々記載されている日記は、信用性が高く評価される傾向があります。

これに対し、裁判に関係ある部分だけ丁寧に書いてあるのにそれ以外の事項はほとんど書かれていない日記や、複数の日の記載が同じ筆記具で同じ調子の筆勢で書かれている日記は、信用性が低く評価される傾向があります。

今回のケースの日記は、離婚問題発生前から日々記述されていることや、写真の添付があることなどから、一定の信用性が認められやすい反面、DVに関連する記述だけしかないならば、信用性は低いと判断される可能性もあります。

この他、記述の具体性や不利な記述を含んでいるか、日記作成の動機や他の証拠等との整合性なども考慮して、信用性が判断されます。

したがって、DV被害を日々日記形式で記録しておくことは、DVの有力な証拠となる可能性がありますが、日記の内容等次第では、有力な証拠と評価されない可能性もあります。

 ●ウソのDV日記の存在を知った…どう対処すればいい?

妻の考えが早めに分かったKさんは幸いです。

離婚の話が出てはじめてウソのDV日記の存在を知らされた場合、すぐに反論の用意するのは非常に困難です。

しかし、最初からウソのDV日記の存在を知っていれば、Kさんの方でも日記帳をつけ、妻の怪我を見つけたときには、原因を聞いてメモしておいたり、DVがあったことと矛盾する夫婦仲の良好さを示す出来事を記載しておいたりすることで、十分妻に対抗できるでしょう。

初動を誤らないで的確に対処しましょう。

 ●ウソのDV日記、証拠を提出した場合、妻に法的なペナルティは?

単に事実に反する内容の日記帳を提出しただけならば、特に制裁を定める規定がないため、法的なペナルティは与えられません。

ただ、妻に対する本人尋問が行われ、日記帳の記載どおりのウソの話をした場合には、民事訴訟法209条1項により、10万円以下の過料の制裁が課されます。

偽造文書に対しては、裁判所がその信用性の判断等を通じて対処し、特に法的なペナルティは与えない、ということになっているとお考え下さい。

取材協力弁護士 能登 豊和 (のと とよかず)弁護士
2010年12月弁護士登録。勤務弁護士を経て2013年7月に地元南千住で開業。トラブル解決は初動で決まるとの考えの下、休日夜間も対応の無料相談を行いつつ、家事事件・債務整理を中心とした活動をしている。
南千住法律事務所

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