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既婚者と知らずに「不倫関係」に・・・相手の妻に「慰謝料」を払わないといけないの?
恋をすると人は盲目になってしまうものだが……

既婚者と知らずに「不倫関係」に・・・相手の妻に「慰謝料」を払わないといけないの?

「おれ、実は結婚してるんだよね。中学生になる娘もいるんだ」。東京都内の企業で働く女性Kさん(27)は、それまで独身だと思っていた年上の恋人男性から、突然の告白を受けて絶句した。

男性とは付き合いはじめて半年以上が経つが、一泊二日の旅行などに頻繁に連れて行ってくれたり、不自然な素振りもなかったことから、Kさんはそんなこと思いもよらなかったそうだ。しかし、自分では気づかなかったとはいえ、妻子ある男性と不倫関係を結んでしまっていたことになる。

相手の妻は、すでにKさんの存在に気づいており、慰謝料を請求すると息巻いているという。このように、不倫関係だと知らなかった場合でも、Kさんは慰謝料を支払わなければならないのだろうか。男女問題をめぐるトラブルにくわしい佐々木未緒弁護士に聞いた。

●不倫と知らなくても、慰謝料を請求される可能性がある

「慰謝料を請求するためには、相手に『故意または過失』がなければなりません」

と佐々木弁護士は言う。これは民法709条の定めに基づくもので、「不法行為」による損害賠償をするためには、相手にこの「故意または過失」があることが要件になる。それでは、このKさんの事例ではどうか?

「このようなケースの場合には、妻子がいることを知らなかったのですから『故意』はありません。そこで、妻子がいることに気付かなかった点に『過失』があるのかどうかが問題になります」

「過失」というと難しそうだが、分かりやすく言うと次のようになる。

「普通の人であれば『ん?』と思うような内容や出来事があった場合や、『それは、ちょっと気にすれば、気付けたんじゃないの?』とか『ちょっとくらいはおかしいとは思わなかったの?』と言えるような場合には、『過失』が認められてしまいますね」

具体的には、どんな事情が「過失」に当たるのか?

「たとえば、次のような事情です。

・一度も彼の家に行ったことがない

・行きたいと言っても不自然に断られた

・自由に電話をすることができない

・日曜日やクリスマスや年末年始など、家族で過ごすことが多いときに会うことができなかった

・家族構成やこれまでの女性との交際経緯の説明が不自然だった

このような事情があるのに、妻子がいることに気付かなかったとすれば、『過失』が認められる可能性がありますね」

なるほど、そういう事情があれば、普通の恋人同士の関係ではないと察するのが自然だろう。そうなれば、不倫相手の奥さんから訴えられた場合に、敗訴してしまう可能性も高くなるというわけだ。

●「故意」と「過失」では、慰謝料の金額は違うが・・・

「『過失』が認められた場合、慰謝料を支払わなければならないのですが、『故意』で不倫していた場合と比べれば金額は少なくなります。

もし、彼からのメールなどで独身を装っていたことがわかるものがあれば、故意ではなかったと認めてもらいやすくなりますよ」

いずれにしても、不倫がしたかったわけではないのに、慰謝料を請求されてはたまらない。

「恋に落ちているときには、自分の目は節穴。友達や同僚などの周りの人に、客観的な意見を聞いてみるのが賢明です!」

と佐々木弁護士はアドバイスする。もし恋人の行動に不審な点があったら、周囲の信頼できる人に相談してみるのが良さそうだ。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

原口 未緒
原口 未緒(はらぐち みお)弁護士 弁護士法人 未緒法律事務所
東京弁護士会所属。心理カウンセリング・アカシックリーディングも併用しながら、こじらせない円満離婚の実現を目指します。著書『こじらせない離婚―「この結婚もうムリと思ったら読む本」(ダイヤモンド社)

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