インスタグラムで他人を中傷するコメントを書き込んでしまったーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
相談者によると、インスタである女性の投稿が気にいらなかったため、コメント欄に「ブスは消えな」「おいブス1000万つぎ込んで整形した方がええぞ?」と投稿しました。相手の女性からは「嫌がらせはやめて下さい、警察に相談します」と返信が来たそうです。
男性は「お酒を飲んでいたこともあり、深く反省してます」と話しています。思わず書き込んでしまった中傷コメントは、何か罪に問われるのでしょうか。中西祐一弁護士に聞きました。
●「公然と事実を摘示」したかどうか
ーー相談者がした書き込みは、何か罪になりますか
「インターネット上に他人を中傷する書き込みをしてしまった場合に問題となりやすいのは、書き込みが名誉毀損となるかどうかです。
刑法230条では『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず』名誉毀損罪で処罰されると定めています。今回の問題は、問題の書き込みが『公然と事実を摘示し』たといえるかどうかです。
まず、誰でも閲覧が可能なインターネット上でのコメントの書き込みは『公然と』に該当します。
次に『事実を摘示』したといえるかどうかですが、『事実を摘示した』といえるには、『実際に整形手術を受けた』とか、『容貌が原因でフラれた』などといった具体的な事実が書き込まれる必要があります」
●侮辱罪に問われる可能性も
ーー相談者は「整形した方がええぞ?」といった書き込みをしたそうです
「これは、対象者が実際に整形したという事実を告げたものではなく、『多額の費用をかけて整形する必要があるほど容貌が醜い』という評価を記載したものであると考えられます。従いまして、『事実を摘示した』とはいえず、名誉毀損罪は成立しないと考えられます」
ーー今回の書き込みは、相手をバカにしたものですが…
「もっとも、刑法231条は『事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者』について侮辱罪が成立するとしています。『ブス』という言葉は、社会通念上、他人を侮辱する言葉であると考えられますので、相談者は、侮辱罪に問われるものと考えられます」