日弁連は3月28日、今年度創設された依頼者見舞金制度の運用状況を公表した。支払われたのは、横領被害が確認された2件で、総額は147万432円だった。会見に臨んだ担当者は「潜在的な被害があるかもしれないが、あれば制度で救済していく」と話した。
制度が開始されたのは2017年10月1日で、対象となるのは同年4月1日以降に発生した被害。2018年3月22日までに10件の申請を受け付け、2件を支給した。
支払われた2件の加害者は同じ弁護士で、当時、香川県弁護士会の所属。「遺産分割事件の和解を巡り受領した金を依頼者に返還しないまま引き出した」と認定されたが、懲戒処分の検討中に死亡した。
日弁連は、年度ごとの支給総額の上限として、「1億円を超えない額を目安」としていたが、初年度は147万円にとどまった。
6件は現在調査中。2件は「着手金詐欺による被害」との判断で不受理となった。日弁連は、詐欺被害については、見舞金制度のような救済制度を持っていない。
制度をめぐっては、「被害者1人あたりの上限が500万円であり、(それ以上の被害が出た場合)根本的な解決にならない」「一部の悪質な弁護士のために会費を使うのはおかしい」などの批判もあり、制度設立を決議した2017年3月の日弁連臨時総会では、混乱が起きていた。