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アキラ100%、正月の生放送であわや放送事故…「マッパ芸」失敗は公然わいせつ?
画像は視聴者のイメージです(sasaki106 / PIXTA)

アキラ100%、正月の生放送であわや放送事故…「マッパ芸」失敗は公然わいせつ?

お盆で股間を隠す「マッパ芸」で人気のアキラ100%さんが正月番組の生放送で芸に失敗し、あわや放送事故に。ネットでは、スロー再生で検証も行われるなど、大きな話題になった。

「事件」が起きたのは、元日放送のフジテレビ系「第51回爆笑ヒットパレード2018」。アキラ100%さんは、ジャグリングに使う箱「シガーボックス」3つで股間を隠す技に挑戦したが、箱の持ち替えに失敗。すぐさま土下座するような形で股間を隠し、「動くレッドカーペット」でそのまま舞台袖に消えた。

アキラ100%さんは、TOKYO MX「5時に夢中!」(4月14日放送)で、公然わいせつ罪にならないよう、ネタを披露する場合は屋内か、外の場合でも「必ず私有地」とコメントしたことがある。果たして、こうした注意をしていれば、犯罪にはならないのだろうか。マッパ芸の法的リスクを西口竜司弁護士に聞いた。

●故意の有無は判断が難しいところ

「なかなかお正月からセンセーショナルな出来事でした。今回のような出来事については、刑法上の犯罪になる可能性があります。読者の皆様もご存じの公然わいせつ罪にあたるか検討させて頂きます。

公然わいせつ罪が成立するためには、(1)公然と、(2)わいせつな行為をすることが必要になってきます。

(1)の『公然』とは、不特定または多数人が認識することのできる状態を意味します。例えば、駅前で露出してしまうようなケースですね。

今回のように、テレビという不特定の方が見てしまうような状況は、『公然』に該当してしまいます。もちろん、放送がないお笑いライブでも、不特定の人が見ているようなところであればアウトになってしまいます。『屋内』や『私有地』だった場合でも一緒です。

(2)の『わいせつ』とは、その行為者またはその他の者の性欲を刺激興奮または満足させる動作であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいいます。局部を露出する場合は当然『わいせつ』にあたります。ただし、失敗の程度によって、わいせつにあたるかどうかは変わってくるでしょう。

仮に完全に見えていて、わいせつに該当したとしても、公然わいせつが成立するには『故意』も必要です。芸の失敗はわざとではないので、故意の有無が難しいところではあります。ただし、本人が見えるかもしれないと思っていれば、『未必の故意』が認定され、公然わいせつ罪が成立することになってしまいます。また、テレビ局やイベント主催者の方も公然わいせつ罪の幇助等になってしまう可能性があります。

『前貼り』をしていれば、局部は見えないので公然わいせつにあたりません。ただし、迷惑防止条例違反になってしまう可能性もあります。いずれにせよリスクの高い芸風だと思います。リスク管理は大切ですね」

アキラ100%さんをめぐっては、BPO(放送倫理・番組向上機構)にも、視聴者から様々な意見が寄せられている。HP上では、「青少年に悪影響を与えるのではないか」など、否定的な意見が多い。一方で、「テレビをつまらなくしないでほしい」といった意見も掲載されている。

いずれにしても、今回の一件で、アキラ100%さんの芸が注目されたのは、単に局部が見えるかも、というだけでなく、芸能生命がかかっているというスリルも含んでいるからだということが、改めて明らかになったと言えるかもしれない。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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