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セクハラ被害を告白「#MeToo」、法的に気をつけるべきポイントは?
画像はイメージです(AH86/PIXTA)

セクハラ被害を告白「#MeToo」、法的に気をつけるべきポイントは?

これまで口に出して言えなかった「セクハラ被害」を告白するムーブメント「#MeToo」。米ハリウッドの大物プロデューサーに対する告発に端を発したものだが、日本でも、ブロガー兼作家のはあちゅうさんらが、セクハラ被害をカミングアウトするなど、広がりを見せている。

告白はハッシュタグ「#MeToo」とともにツイッター上に投稿されている。「上司からホテルに誘われた」「食事を断ると仕事の話すら取り合ってもらえなくなった」。そんなエピソードがあふれている。相手が社会的地位がある人の場合、実名をあげているケースも少なくない。

一方で、「名誉毀損で逆に訴えられるリスクもある」という指摘もあがっている。これまで声にできなかったセクハラ被害について考えるきっかけとして「#MeToo」が広がることは意義のあることだろう。「#MeToo」と声をあげる前に、法的に気をつけるポイントについて、清水陽平弁護士に聞いた。

●「実名をあげての投稿はリスクもある」と認識しておいたほうがいい

「人の社会的評価を低下させることが名誉毀損であるとされています。

個人を特定することができるかたちで、『セクハラをした』ということが公開されれば、その人の社会的評価が低下することになるため、名誉毀損となる可能性があります。

実名を出せば、誰のことかわかることになります。また、実名を出していなくても、誰のことを指しているのかが、投稿されている内容や状況からわかるということであれば、やはり名誉毀損の問題が生じます。

ただし、社会的評価の低下があったとしても、公共性、公益目的、真実性という要件を満たすのであれば、違法性がないとして、名誉毀損が成立しないことになります」

「#MeToo」で声をあげることはどうだろうか。

「『#MeToo』は、セクハラ被害を共有して、セクハラをなくしていくことを目的にしていると思われることから、公共性、公益目的はあるといえるでしょう。

ただし、真実性に関しては、実際にその被害を受けているとしても、『本当にそのようなことがあったのかを立証できるか』という問題があります。

真実性の立証は、訴えられた側、つまりこのケースで言えば、『#MeToo』に投稿した側が立証する必要があることになります。セクハラは、密室や人目に付かないところでおこなわれているのが通常であるため、証拠がないことも少なくありません。

そのため、仮に、『本当にセクハラ被害を受けた』としても、『加害者の実名をあげて投稿することにはリスクが伴う』ということは、認識しておいたほうがよいと思います。

なお、インターネット上では、セクハラ被害を報告した人に対して、誹謗中傷するような投稿も見てとれますが、そのような二次被害を生むような行動は許されるべきではないと思います」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

清水 陽平
清水 陽平(しみず ようへい)弁護士 法律事務所アルシエン
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省が主催する「発信者情報開示の在り方に関する研究会」の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第3版(弘文堂)」などがあり、マンガ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。

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