パチンコ・スロット店でたまに見かける「プロ禁止」の張り紙。プロだとバレたら追い出され、「出禁」になることもあるという。
プロといっても、パチスロに国家資格があるわけではないので、すべては店側の判断だ。たとえば、通常一定の位置まで回してキープするハンドルを細かく操作する「変則打ち」や、もう少しで当たりが出そうな(天井が近い)台だけを狙う「ハイエナ」などが対象になりやすいようだ。
しかし、客としては、「遊技」に勝ちたいのは当たり前で、攻略法を研究するのは当然だ。そもそも、ただハンドルを握っているだけでは、「遊技」にならないのではないか。
磁石を使うなど、想定されていない「遊び方」ならともかく、台の機能の範囲でプレーしているのにどうして問題なのだろうか。店側の出禁に法的根拠があるか、2年半で1000万円の利益を出した元パチプロの飛渡貴之弁護士に聞いた。
●施設管理権の範囲内か?
ーー出禁にする法的な根拠はあるの?
「風営法」など、具体的な法律による根拠はありません。しかし、パチンコ店に関わらず、一般的に店側には施設を管理する権利があるとされています。
不特定多数の来客を前提とするパチンコ店であれば、店側もお客を選ぶ一定の権利があるということになります。もっとも、外見で選ぶ、性別で選ぶとなると、一定の権利を超え、違法となります。
ーー「上手い」ことを理由に追い出すのは、権利の範囲内?
パチンコ・パチスロは、他のギャンブル以上に、打ち手の技術介入によって還元率をアップさせることができます。昔の機械ですと、数十パーセントでした。今は数パーセント程度で、技術介入の余地は少なくなりました。射幸性が高いと依存になるという表向きの理由ですが、IR促進などによるところが大きいかと思います。
といっても、「ハンドル固定」や「止め打ち」なんて、技術介入というか、それ以前の問題で、これもしないのならば、他のギャンブルをすべきでないかというくらい当たり前のことです。
しかし、駄目だというパチンコ店が出てきています。法的には、施設管理権があるので、状況にもよりますが、店がダメと言うなら従うしかないと思います。そんなふざけた店には行かない、来客数が減り、店の売り上げが減る、店がつぶれるという、当たり前の市場原理が働くといいですね。
ただ、店としても、たとえばプロ集団(軍団)が(良し悪しを短時かつ客観的に判断するのは基本的に不可能です)台を占拠して、一般のお客がプレーできないなどの問題があり、対応せざるを得ない状況があるともききます。
なお、パチンコは、保通協(一般財団法人保安通信協会)というところで、適法性・適合性を検査しています。この検査は、止め打ち・変則打ちなし、釘も出荷時のまま、で行います。ですから、この打ち方を原則としているんです。
釘については、少し前に釘を触っていると摘発された店がありました。「釘を触らない」というのは建前で、実際は当たり前に触っていたのですが、前述した昨今のパチンコ規制のあおりを受けたのです。
また、パチンコもパチスロも、一部の特殊仕様によって天井がある機械を除いて、昔から単純な確率(独立試行)で大当たりが判断されます。裏ロムがついている機械は別ですが、そんなものは今やありません。地下でやっている違法カジノにある機械くらいです。したがって、これぐらい回っているから、そろそろ当たるというのは完全に気のせいです。