AV業界の外部有識者でつくる「AV業界改革推進有識者委員会」(代表委員:志田陽子・武蔵野美術大学教授)が4月17日、東京都内で記者会見を開いた。志田代表委員は「AV業界の川上から川下まで、今一度総点検して問題点を抽出し、改善していくための道を開いていく」と述べた。
この委員会は、いわゆるAV出演強要問題を受けて、4月1日に発足した。AV女優など、出演者の自己決定権などの人権を守ることに重点を置いたうえで、業界の健全化を推進するために提言や指導をおこなっていくことにしている。その指針となる「業界が守るべき規則」を制定し、すでに公表している。
AVメーカーでつくる業界団体「NPO法人知的財産振興協会」(IPPA)、AV出演者の権利団体「一般社団法人表現者ネットワーク」(AVAN)、プロダクションでつくる「日本プロダクション協会」が加盟している。役割としては、「テレビ業界における『放送倫理・番組向上機構』(BPO)をイメージしている」(志田代表委員)という。
●「出演者の人権侵害を防ぐシステム作りが必要だ」
委員会では、「適正AV」という語句をもうけて、「IPPAに加盟しているメーカーが制作し、正規の審査団体の厳格な審査を経て認証され製品化された映像のみをいう」などと定義している。
河合幹雄委員(桐蔭横浜大学教授・副学長)は会見で、「『適正AV』をほかと峻別することによって、悪質業者だけでなく、非合法業者(無修正ビデオ業者など)のビデオに出演志願する危険がある女優を守る効果が期待される」と話した。
山口貴士委員(弁護士)は「AV出演者の自己決定権と安全が十全に保証されない状況は、重大な人権侵害の温床になりかねない」と指摘した。そのうえで、契約書のサインや口頭による説明だけでは、AV出演者の自己決定権の観点から不十分だとして、インフォームドコンセントの重要性を主張した。
歌門彩委員(弁護士)は、AV出演強要について「若い女性につけこんで、気がついたときは逃げられない状況にされている。もし若い頃に巻き込まれたら、適切に対応できないという印象を受けた」と話した。「出演者の人権侵害がおこなわれないようにするために、システム作りが必要だと考えている」と強調していた。