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8歳の娘と「除夜の鐘」を聞きに行きたい! 子どもの深夜外出、法的に問題ない?
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8歳の娘と「除夜の鐘」を聞きに行きたい! 子どもの深夜外出、法的に問題ない?

大みそか、8歳の娘と除夜の鐘を聞きに行きたいが、深夜に子連れで外出していいのかーー。東京都在住の男性が、弁護士ドットコムニュースの記者にそんな疑問を打ち明けた。

男性の娘は小学校2年生。これまでは、除夜の鐘がなる頃には寝てしまっていたそうだ。「でも『今年は起きているから大丈夫!』と娘も張り切っています。何としてでも除夜の鐘を聞かせてあげたい」。男性はそう力を込める。

しかし、一抹の不安もある。行き先は家から歩いて5分のお寺だが、午前0時過ぎに小学生の子どもを連れて外出することが、「虐待」になってしまうのではないかと懸念しているというのだ。「虐待にはならなくても、条例に違反しているかもしれない。大みそかを迎えるまでに、この疑念を解消したいのです」。

除夜の鐘を聞くために小学生の子どもと深夜に外出することは、法的に問題になる可能性があるのだろうか。石坂浩弁護士に聞いた。

●都道府県によっては、子どもの深夜外出を制限する条例も

「各都道府県単位で、『青少年保護育成条例』という条例が制定されています。東京都では、深夜の午後11時以降における18歳未満の子どもの外出を制限しています。また、神奈川県でも、子どもとの深夜同伴外出を控えるよう、大人に努力義務が課せられています」

石坂弁護士はこのように述べる。相談者の男性は東京都内在住だが、8歳の娘と除夜の鐘を聞きに行くために深夜外出することは、東京都の条例に違反するのだろうか。

「条例の趣旨は青少年の健全な育成を図るものですから、この趣旨に合致する夜間外出、例えば保護者や指導者同伴でのナイトウォークや、夜の工場・水族館・動物園等の企画見学会、慣行上深夜に行われる祭礼、盆踊り、そして除夜の鐘や初詣に行くことは問題ありません。

ただし、これら行事を建前とした遊興施設への立入や深夜徘徊はもちろん除外され、条例違反となります」

今回のケースとは異なるが、仮に、親が不在で、小学生の子どもだけで深夜外出する場合は、また別の法的問題が発生するのだろうか。

「小学生を保護者の同伴なく単独または同級生と深夜外出させることは、たとえ初詣などの例外的な行事であっても、監督者などのいない深夜外出の危険性を考えると、保護者が条例違反になる可能性があります。

相談者の男性は、子どもとの深夜外出が「虐待」になるのではないかと心配しているようだが・・・。

「仮に、親が常日頃から深夜同伴外出を繰り返し、明らかに子の顔色が悪かったり、アザがある、極端に痩せていたりするといった兆候があれば、深刻な虐待に該当する可能性もあります。しかし、今回のように大みそかという特定日に短時間同伴外出する程度なら該当しません。

ただ、近年は子どもの虐待事案が急増しています。今回のケースでは虐待の心配はないと思いますが、もし読者の皆さんが、お住まいの地域で虐待の兆候がある子どもを発見した場合には、児童相談所共通ダイヤル(189・イチハヤク)に電話して下さい」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

石坂 浩
石坂 浩(いしざか ひろし)弁護士 石坂綜合法律事務所
第一東京弁護士会所属。社会福祉士。子ども法委員会(副委員長)、家事法制委員会。子ども(少年事件、学校問題やいじめ、未成年後見等)と高齢者(遺言、財産管理や成年後見等)の事案には特に力を入れている。子どものための法律相談(青林書院・共著)の他、学校でのいじめ防止授業や各自治体での高齢者支援セミナー等も行っている。

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