自分がほしい物を競り落としたり、いらなくなった物を売りに出せるオークションサイト「ヤフオク!」。家電やバッグから中古車や不動産まで、さまざまなものが出品されているが、10月中旬、女性の「1日デート権」が出品されて、注目を集めた。
その商品説明によると、女性は24歳独身で、趣味はゲームとベースと園芸。「ひとりでさみしい方」「遊び相手が欲しい方」などを対象に「あなたの心の隙間をお埋めします」といった説明文が書かれていた。顔写真も掲載されており、即決価格は10万円だった。
この「1日デート権」は話題になったあと、出品が取り消されたが、女性の「デート権」が売りに出されるのは、なんだかいかがわしい気もする。はたして法的に問題はないのだろうか。インターネット問題にくわしい福村武雄弁護士に聞いた。
●デート代金が「性交渉」の対価なのかがポイント
「18歳以上の本人が『デート権』を販売する行為自体について、直接規制する法律は存在しないと思います。
ただし、デート代金が実質的に性交渉の対価であれば、売春防止法に抵触する可能性があります。単純売春には罰則がありませんが、禁止されていることに違いはありません」
福村弁護士はこう述べる。もし仮に、本人以外が「デート権」を出品する場合はどうだろうか。
「まず、デート代金が性交渉の対価である場合、売春のあっせん行為もしくは管理売春として処罰される可能性があります。
また、東京都には『デートクラブ営業などの規制に関する条例』がありますので、性交渉を伴わなくても、当事者以外が『デート権』を出品して対価を得る行為は、この条例に抵触する可能性があると思われます。
出品対象者が18歳未満であった場合は、青少年保護条例や児童買春・ポルノ禁止法によって、処罰される可能性があります」
●オークションサイト側の責任は?
運営サイト側の責任についてはどうだろうか。
「運営サイトは通常、当事者間の売買について責任を持たない旨の利用規定をもうけています。また、公序良俗に違反する内容の出品については、削除するなどの対応をしていると思われます。
しかし、もし仮に、オークションサイトが売春行為あっせんの温床となってしまった場合、違法行為を『過失によって、ほう助』したとして、法的責任を追及される可能性があると思います」
こう述べたうえで、福村弁護士は次のように注意喚起していた。
「このような『デート権』については、実際に落札した場合、デート当日に誰も来ない、もしくはオークションで提示された写真とまったく異なる人物が来るなど、詐欺の温床になる危険性も含んでいます」