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18歳、19歳のAV出演被害相談が急増、人権団体「4月以降も未成年取り消し使えるように」
記者会見の様子(2022年3月23日/弁護士ドットコム撮影)

18歳、19歳のAV出演被害相談が急増、人権団体「4月以降も未成年取り消し使えるように」

20歳未満の女性からアダルトビデオ(AV)出演に関する被害相談が急増しているとして、人権団体が3月23日、東京・永田町の衆院第二議員会館で開かれた院内集会で、4月から成人年齢となる18歳・19歳でも、例外的に「未成年取り消し」が使える法制度を整えるよう訴えた。

●18歳、19歳は4月から「未成年取消権」がなくなる

この院内集会は、いわゆるAV出演強要問題に取り組むNPO法人ぱっぷす、認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウが主催した。

ぱっぷすによると、AV出演に関連する被害相談数は、2019年度が76件(うち20歳未満13件)、2020年度が90件(うち20歳未満6件)、2021年度が81件(うち20歳未満が20件)だった。新型コロナの影響で減ったが、その反動があったものとみられるという。

AV出演強要の典型例は、タレント・モデルにならないかと声をかけられたり、ツイッターのDMが送られてきたりして、実際に事務所について行ったところ、AVの契約だったことがわかるが、断れない状況をつくられて、その後、撮影・販売にいたるというものだ。

これまで18歳、19歳は親(法定代理人)の同意がなければ、契約を取り消すことができる「未成年取消権」があったが、4月からその権利がなくなる。もちろん、引き続き「詐欺」「強迫」による取り消しはできる。

だが、かならずしも「詐欺」「強迫」にあたるとまでは言えないケースもあり、要件が厳しくなるうえに、善意無過失の第三者に対抗できない。つまり、販売・流通を止める手段が困難になるのだ。

●伊藤弁護士「もしかしたら亡くなる人が出るかもしれない」

大手AVメーカーや大手AVプロダクションなどの団体が会員となっている「AV人権倫理機構」によると、大手メーカーをはじめとして、多くのメーカーでは、18歳、19歳の女優の出演は控えており、ここ数年、業界アンケートでも18歳、19歳の女優数はゼロになっているという。

一方、業界団体に属さない個人やサークルが制作した「同人AV」と呼ばれるジャンルもネットを中心に広がっている。ヒューマンライツ・ナウの伊藤和子弁護士は「ゲリラ的な撮影のようなものが山のようにある。『業界ががんばればいいじゃないか』ということで対処できるものではない」と指摘する。

AV出演強要被害を防ぐための「包括的な法律」を求めつつも、「まさに4月から被害が発生して、もしかしたら(過去に自死した人もいることから)亡くなる人が出るかもしれない」として、伊藤弁護士は、特別立法などによる解決の必要性を訴えた。

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