犯罪者同士を結びつける「闇サイト」の存在に再び、注目が集まっている。
昨年11月に大きな話題となった東京・田園調布で起きた身代金誘拐事件。連れ去られた中学生は発生当日に保護され、容疑者3人も翌日逮捕されたが、この3人を結びつけていたのが「闇サイト」だったと報じられている。
2007年には愛知県で、闇サイトで知り合った男3人が、帰宅途中の女性を狙った強盗殺人事件を起こしている。ほかにも、麻薬の取引や拳銃の売買など、闇サイトが犯罪の温床になっているケースは少なくないとされる。
そもそも、こうした闇サイトは、法律で規制されていないのだろうか? 警察庁で23年間のキャリアを持つ後藤啓二弁護士に聞いた。
●「闇サイト」の開設は法律で規制されていない
「現在、インターネット上には、闇サイトとよばれる犯罪仲間の募集や犯罪の請負を行うことを内容とするサイトが多数存在しています。
このようなサイトを利用して、見知らぬ者同士が共同して凶悪犯罪、詐欺その他の犯罪を行う事例が多く見られます。
2007年に愛知県で起きた事件も、『闇の職業安定所』という闇サイトで知り合った男3人が、名古屋市の路上で帰宅途中の女性を車に無理やり連れ込み、金員を奪ったうえで殺害するという、凶悪な事件でした」
現在、闇サイトは規制されていないのだろうか?
「現行法では、闇サイトを開設することや、闇サイトを利用して犯罪仲間を募集することそのものは禁止されていません。
闇サイトを利用した凶悪犯罪等を防止するために、『犯罪仲間募集サイト禁止法』(仮称)を制定するべきでしょう」
●どんな内容の法律で規制すべきなのか?
後藤弁護士はこのように指摘する。たとえば、どのような内容の法律を考えているのだろうか。
「ポイントは次の3点です。
(1)インターネット上の掲示板を利用して犯罪仲間の募集、犯罪の請負などを行うことを禁止する。
(2)犯罪仲間の募集や犯罪の請負などを主たる内容とする掲示板の開設・運営を禁止する。
(3)一般の掲示板の管理者は、自己の掲示板に犯罪仲間の募集、犯罪の請負などを内容とする書き込みがなされていることを知ったときは、削除するよう努める」
後藤弁護士は「このような法律を制定することにより、一定の抑止力を期待でき、闇サイトを利用した犯罪の抑止が図られると考えています」と期待していた。なお、後藤弁護士は自らのブログ(http://www.law-goto.com/0302/011/ )で、より細かな議論を展開している。
ただ、最近の闇サイトでは、実態を隠すため「もうかる仕事」など、一般的な会話との区別がつきにくい表現が使われるようになってきているといい、実際に法規制するとなれば、表現の自由など様々な観点での検討が必要となりそうだ。