安倍晋三首相は5月3日、改憲派がオンラインで開催した「憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、新型コロナウイルスの対応を例にあげ、憲法に「緊急事態条項」を設けることについて、国会の憲法審査会で議論を進めるべきと話した。
また、新型コロナ対策や今年1月から始まった中東海域での情報収集活動など、自衛隊の活動にも触れ、「自衛隊は違憲というおかしな議論に終止符をうつため」として、憲法9条に自衛隊を明記すべきと発言した。
緊急事態条項は、自民党が2018年にまとめた改憲案4項目の1つ。「大地震その他の異常かつ大規模な災害」で国会の機能が確保できなくなったとき、内閣の権限を一時的に強化できるなどとしている。
一方、国会のチェックが働かないため、私権制限に強い懸念がある。
動画の中で安倍首相は、コロナ問題について「政策を総動員して各種対策を進めています」と発言。一方で、「現行憲法においては緊急時に対応する規定は『参議院の緊急集会』しか存在していない」などと、必要性を訴えた。
●日弁連会長「権利規制が必要以上に強化される危険」
この点について、日弁連の荒中(あら・ただし)会長は、「感染防止は市民の協力を得ての法律上の対応で十分可能」としたうえで、「個人の権利規制が必要以上に強化される危険があります」とする声明を同日、フォーラムに先立って発表している。
ネットでは、政府のコロナ対策の不足を指摘し、「火事場泥棒」などと批判する声も多く見られる。