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「ベビーカーは車道だろ」2人組男性から絡まれた…SNS投稿が物議 弁護士に聞く対処法は
写真はイメージ(プラナ / PIXTA)

「ベビーカーは車道だろ」2人組男性から絡まれた…SNS投稿が物議 弁護士に聞く対処法は

「ベビーカーは車道だろ」

子育て世代が聞いたら耳を疑うような言葉だが、そんなイチャモンをつけられたという報告が、SNSのThreadsに投稿された。

投稿主によると、ベビーカーを押して歩道を歩いていたところ、2人組の男性から「自転車は『車』がつくから車道だろ? それならベビーカーも『カー』だから車道だろ」との持論を展開されたという。

もしもベビーカーが車道を走っているのを見かけたら、自動車を運転する側はヒヤヒヤするだろう。にわかには信じがたい話だ。

このような戯言に耳を傾けるべきはずもないが、どのように対応すればよいのだろうか。交通問題にくわしい松本洋明弁護士に聞いた。

●【弁護士の解説】「ベビーカーは車道だろ」は誤り

——ベビーカーは「車」の扱いなのでしょうか。車道を走るべきなのでしょうか。

ベビーカーは法律上「歩行者」、車道ではなく歩道の通行が原則です。

ベビーカーは道路交通法上、「歩行者」として扱われるため、歩道と車道の区別がある場所では、原則として歩道を通行すべきものと考えられます。SNSへの投稿にあるような「ベビーカーは車道だろ」という男性からの指摘は、誤りであるといえます。

法律(道路交通法第2条第3項第1号)では、「小児用の車」であるベビーカーを押して歩いている人は「歩行者」とみなされると明確に規定されています。そのため、ベビーカーは車両ではなく「歩行者」と同じ交通ルールが適用されることになります。

そして、歩行者の通行方法については、同法第10条で定められています。歩道と車道の区別のある道路では、歩行者は原則として歩道を通行しなければなりません。

したがって、ベビーカーで車道を走る行為は、道路工事で歩道が通れない、車道を横断するといった、やむを得ない事情がある場合を除き、道路交通法に違反することになります。

ちなみに、歩道が設置されていない道路を通行する際は、通常の歩行者と同じく道路の右側端に寄って通行する必要があります。

画像タイトル プラナ / PIXTA

近年では、保育施設などで利用される複数人乗りの大型ベビーカーや、電動アシスト機能が付いたものも見られます。

これらについても、一定のサイズ(長さ120センチ、幅70センチ、高さ120センチ以下)や、時速6キロを超える速度を出すことができないといった構造の基準を満たしていれば「小児用の車」として扱われ、歩行者として通行できます。

一般的に市販されている個人用のベビーカーが、これらの基準から外れることはまず考えにくいでしょう。

今回のケースのように誤った指摘をされた場合でも、法律上のルールを正しく理解していれば、不要なトラブルを避け、落ち着いて対応できるかもしれません。

ベビーカーを利用する方はもちろん、周囲のドライバーや歩行者も思いやりのある運転や行動を心がけることで、誰もが安心して通行できる環境が育まれていくでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

松本 洋明
松本 洋明(まつもと ひろあき)弁護士 弁護士法人ブライト
2010年弁護士登録(大阪弁護士会所属)。交通事故関連事件の取扱い多数。

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