2020年01月04日 09時50分

交通事故で「専業主夫」になった男性「家事従事者として認められますか」

交通事故で「専業主夫」になった男性「家事従事者として認められますか」
画像はイメージです(Fast&Slow / PIXTA)

交通事故は生命、健康な身体、仕事、家族など様々なものを奪う。弁護士ドットコムに相談を寄せた男性の場合、事故で失ったのは仕事だった。

男性は事故後、怪我の影響で仕事ができなくなり退職した。現在は、近く結婚する交際相手の女性とアパートで同棲しながら、すべての家事をおこなっている。

このような場合、休業損害は認められるのだろうか。千葉拓馬弁護士に聞いた。

●事故によって無職に「休業損害は認められる」

「休業損害は、療養のため労働することができないことによる損害です。交通事故によって退職を余儀なくされて無職となったのであれば、交通事故前に従事していた仕事ができなくなったといえます。そこで、交通事故前に従事していた仕事を前提にした休業損害が認められます。

なお退職をしてしまうと、休業損害証明書の作成を勤務先に依頼することが困難になるなど、休業の実態や必要性・相当性といった立証に支障が生じる可能性がある点には注意が必要です。 

さらに、本件では交通事故後は交際相手の女性と同棲してすべての家事を行っているということですので、療養のため労働することができないとはいえないとして休業損害自体が否定されたり、休業損害自体は認められても限定的なものにとどまったりすることも考えられます」

●男性も「家事従事者」として認められるのか

今回の事例とは異なるが、専業主夫の男性が事故にあった場合、主婦(女性)と同様に休業損害は認められるのだろうか。

「『主婦』であれば認められる休業損害が、『主夫』であるからといって認められない理由はありません。よって、この男性が婚姻して主夫となった後に事故に遭っていて、事故前のような家事ができなくなってしまった場合には、『主婦』と同様に休業損害が認められると考えます。

ただ『主婦』という固定観念からか、男性の場合には、女性の場合以上に、他人のための家事労働を行っていたことに対する具体的な立証を求められる傾向があるように思います」

もし婚姻状態になく、内縁関係や婚約者の「専業主夫」だった場合にはどうか。

「休業損害の対象になるのは他人のための家事労働ですので、婚姻関係にある相手であろうと内縁関係の相手であろうと、自分以外のための家事労働であれば『家事従事者』として休業損害が認められる余地があります。

ただ、婚姻関係にある場合にはあまり問題とされない、同居の継続性や共同生活の実態についても証明を求められるのが一般的です。

この場合、住民票で同一世帯となっていることや、郵便物の郵送先が同一であること、共同生活の収支状況や勤務状況、世帯としての生活実態などを明らかにする必要が出てくることが考えられます。

特に世帯としての生活実態については客観的な資料の準備が容易ではなく、最終的には内縁の夫や妻の陳述書等によって立証を試みることが少なくないと考えます」

取材協力弁護士

千葉 拓馬弁護士
2012年弁護士登録。重度後遺障害も含めた様々な交通事故案件を中心に,債務整理や相続等の一般民事事件を幅広く取り扱っています。

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