「テレビ見ながら運転しても法律的に問題ないんだろうか」。ツイッターでこんな問題提起をしたのは「レンタルなんもしない人」さんだ。YouTuberのはじめしゃちょーさんの車に同乗したところ、テレビを見ながら運転したり、片手運転したりする様子に疑問を持ったそうだ。
テレビ見ながら運転しても法律的に問題ないんだろうか。はじめしゃちょーは「正規のルートで買って元から機能としてあるんだから問題ないんじゃないですか」と言ってたけど。僕はこの世の誰一人としてテレビを見ながら運転してほしくないですね......
— レンタルなんもしない人 (@morimotoshoji) 2019年8月8日
レンタルなんもしない人さんは、本人に直接注意したそうだが、危険行為であることは明白だろう。テレビを見たり、片手運転したりすることにどんな法的な問題があるのか。中川龍也弁護士に聞いた。
●「注視」が意味するものは?
「テレビを見ながら運転する行為は、道路交通法違反となる可能性があります。
道路交通法71条5号の5で記載された『注視』とは、画像を見続ける行為のことを意味します。速度計やカーナビなどは、一瞥(ちらっと見る)だけで情報を確認できるため、ちらっと見て、速度や位置情報を確認する限りでは『注視』とならないと考えられています。
一方で、テレビは一瞥で情報確認できるものではないので、テレビを見る行為は『注視』に該当し、罰金が科せられる可能性があります。また、事故を起こした場合には、道交法70条の安全運転義務違反となり、罰則もあります」
片手運転については、法的な問題はないのか。
「道路交通法上は、片手運転を禁止する明確な規定はありません。
ただし、道路交通法第71条6号は、運転の際に『道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項』を遵守しなければならないと規定されています。
さらに一部の都道府県の公安委員会では、『かさをさし、物をかつぎ、物をもつなど視野を妨げ、又は安定を失うおそれのある方法で』自動車等を運転しないよう義務づけているところがあります。
また、片手運転を行い、離している方の手の状況によっては、道路交通法第70条の安全運転義務違反になることもあります。たとえば、ハンドル操作が頻繁に必要な道路状況の下で、離している方の手で飲み物を持って運転するという行為は、場合によっては道路交通法第70条違反となり、罰金が科されることもあります」
この他、注意したほうがよいことはあるのか。
「スマートフォンでニュースを見聞きする行為やメール等のメッセージを送る行為も、画像を『注視』する行為に該当することになりますので注意が必要です。
私が取り扱う事故では追突事故もかなりの数があり、よそ見運転が原因となっているものも少なくありません。テレビやアプリのゲームに集中して、深刻な被害を出したという事故も発生していますので、当たり前のことですが、運転中はテレビをみないことや携帯電話の操作は行わないという意識が必要ではないかと思います」