2019年06月12日 09時50分

プレステVR、スイッチ…「1000円ガチャ」の高額商品、法的な問題はない?

プレステVR、スイッチ…「1000円ガチャ」の高額商品、法的な問題はない?
1000円ガチャ(読者提供)

豪華商品をうたい文句にした「1000円ガチャ」を見かけたことはありますか。「夢の自販機」とも呼ばれ、様々なYouTuberたちが、購入している動画を公開しています。

注目すべきは、やはり豪華商品の内容です。最近、東京都内で1000円ガチャに挑戦した大学生のショウタさん(法学部)は、「ニンテンドースイッチやプレステVRがあるみたいでついにチャレンジしてみました。結果は謎の安物時計でしたけど…」と残念がる。

https://asset.bengo4.com/topics/14641.jpg

ただ、ショウタさんは最近、気がかりなことがある。豪華すぎる商品について、法学部の別の友人から、「価格の20倍を超える景品の場合、景品表示法の問題があるのではないか」と聞いたからだ。

確かに、ニンテンドースイッチやプレステVRは、2万円を超える高額商品だ。法的な問題はないのか、鈴木義仁弁護士に聞いた。

●「景品類」の提供をしていることにはならない

景品表示法(景表法)とはどんな法律なのか。

「正式名称は、『不当景品類及び不当表示防止法』といい、事業者が『不当な景品』の提供をしたり、不当な表示により、商品の販売やサービスの提供について消費者を誘引(勧誘)したりすることを規制しています。

一般消費者による自主的で合理的な商品・サービスの選択を阻害するおそれがある行為を制限したり禁止したりして、一般消費者の利益を保護しようという法律です」

では、今回の「1000円ガチャ」が不当な景品の提供として景表法に違反しないのか。

「景表法で規制の対象となるのは、あくまで『景品類』です。景表法や告示・運用基準によれば、『景品類』とは、(1)顧客を誘引するための手段として(2)事業者が自己の供給する商品又は役務(サービス)の取引に付随して(3)提供する物品、金銭その他の経済上の利益、ということになります。典型的には、商品を購入した場合についてくるオマケについて一定の規制をしようというものです。 

お菓子を買うとおもちゃが必ず付いてくるような場合は、『総付景品』といって、1000円未満の商品やサービスについては、200円が最高額、1000円以上の場合はその価格の20%が最高額と定められています。

くじや抽選券等の偶然性を利用して当選者に景品等を提供したり、パズルやクイズの正解者など特定の行為の優劣や正誤によって景品等を提供したりする場合は、『懸賞』にあたり、5000円未満の商品やサービスについては取引価額の20倍が最高額で、5000円以上の場合には10万円が最高額と定められています。

何年か前に問題となったのは、『コンプガチャ』と言われるものです。オンラインゲームのプレイヤーがゲームで利用するアイテム等を有料で購入しますが、アイテム等は自由に選ぶことができず、何が出てくるか分かりません(『ガチャガチャ』の機械と同じ)。さらに、購入したアイテム等で一定の組み合わせが揃うと(コンプリートすると)、そのゲームで使える別の希少なアイテム等(レアアイテム)を景品として提供するというものでした。

この場合は、有料の『ガチャ』という取引に『顧客を誘引するための手段として』、『ガチャ』の取引に付随して『レアアイテム』を提供するものとして、景品表示法の『懸賞』による景品類の提供にあたるとされました(『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』昭和52年3月1日公正取引委員会告示第3号第5項、同運用基準4(1))」

では、「1000円ガチャ」と「コンプガチャ」とは、同じものと考えていいのか。

「『1000円ガチャ』は、1000円の金銭の支払いと引き替えに『商品』を得ているだけで、たとえ高額な『商品』だったとしても、その『商品』は、事業者が供給する商品そのもので、売買という取引の対象そのものにすぎません。

この『1000円ガチャ』で購入した『商品』で一定の組み合わせが揃うと、レアな高額商品が提供されるというわけでもありません。高額な『商品』が得られるかもしれないとして『1000円ガチャ』取引に誘引はしていますが、取引に付随して『景品類』の提供をしているものではないので、景表法の規制は及びません。『商品』を選ぶことができない売買にすぎないということになります。

ただし、景表法では、価格その他の取引条件について、実際のものよりも著しく有利であると一般消費者に誤認させ、不当に消費者を購買に走らせるような表示を禁止しています(第4条第1項第2号)。あたかもガチャが高額な商品ばかりあたるかのような表示を見せつつ、実際は消費者が求める商品が全然得られないといった場合には、有利誤認表示として景表法に違反するおそれがあります」

取材協力弁護士

鈴木 義仁弁護士
神奈川大学大学院法務研究科教授。横浜市消費生活審議会会長。著書に「悪徳商法にご用心」(共著:日本評論社)、「訴える側の株主代表訴訟」(共著:民事法研究会)「くらしの法律相談ハンドブック(共著:旬報社)」

[弁護士ドットコムからのお知らせ] アルバイト、協力ライター募集中!

弁護士ドットコムニュース編集部では、編集補助アルバイトや協力ライター(業務委託)を募集しています。

詳細はこちらのページをご覧ください。
https://hrmos.co/pages/bengo4/jobs/0009608

この記事へのコメント

コメント内容を確認する
コメントの送信に失敗しました。

コメントの送信時にエラーが発生しました。
もう一度コメントを入力してください。

再読み込みする
バナーの画像、書かれている内容は「あなたの体験を記事にしませんか?体験談募集」