「黄熊(ぷう)」「今鹿(なうしか)」・・・。これは、赤ちゃん名付けというサイトを運営するリクルーティングスタジオが発表した「2014年上半期キラキラネームランキング」で、ベスト10に入った名前だ。同サイトで検索された回数によるランキングで、必ずしも実際、この名前が付けられたというわけではない。
ただ、ふりがななしでは読めない名前が増えているのはどうやら本当で、東京都内のある小学校教諭は「名前に読みがなは必須です」とこぼしていた。
親はきっと、将来への希望や願いを込めて、大切に命名しているのだろう。ただネットでは、「難関お受験校では、キラキラネームの子は書類だけで不合格にされる」「キラキラネームの学生は採用するときにためらう」といったコメントも見られる。
個性的な名前が、受験や就職など、人生の大事なイベントで不利に働くかもしれない。先生や友達など第三者から見て「読みにくい、読めない」というのも問題だろう。子どもの名付けについて、法律上の制限などはないのだろうか。どんなに変わった名前でも、親が良いというなら子どもに付けられるのだろうか。浮田美穂弁護士に聞いた。
●決められた文字を使えば「名付け」は自由
「法律上の制限については、戸籍法で『子の名には、常用平易な文字を用いなければならない』とされています」
浮田弁護士はこのように説明する。「常用平易な文字」とは、具体的に言うとどういうことだろうか。
「法務省のホームページに載っている常用漢字表・人名用漢字表の漢字、片仮名、平仮名(変体仮名を除く)のことです。それらの範囲内であれば、自由に名付けることができます」
では、それらの文字を使えば、例えば「黄熊」を「ぷう」と読ませたりすることもできるのだろうか。
「漢字をどう読むかについては制限されていません。したがって、通常とは違う読み方をする名前をつけることも可能です」
●生活上の不利益を受けていれば、改名できる
基本的には「親の自由」なわけだ。ただし、だからといってどんな名前でも認められるわけではないらしい。
「基本的には、親は子どもの名前を自由に付けることができます。ただ、親権の濫用にあたる場合や常識的に考えて明らかに不適当な場合は、出生届けを提出する際、役所が不受理とすることができます」
1993年には、「悪魔」と命名された男児の出生届を、東京都昭島市が受理しなかった「悪魔ちゃん事件」が起きている。市はこのとき、市は子供の福祉を害する可能性があるとして、親権の濫用を理由としたそうだ。
さすがに「悪魔」ほど過激ではなくても、名前によっては、そのせいでいじめられたり、就職などに際して、他人から奇異な目で見られるなど、子供が生きづらさを感じるケースもあるかもしれない。
「名前のせいで、生活上の不利益を受けている場合は、家庭裁判所の許可を得て、名前を変更することができます」
浮田弁護士はこのように説明していた。
そもそもの話として、子どもが生活上の不利益を受けないよう、親は配慮して名前を付けてほしいものだが・・・。