東京都渋谷区内で、農薬を染み込ませたパンをカラスに食べさせ、7羽を死亡させたとして、千葉県船橋市の会社員男性(60代)が1月26日、鳥獣保護法違反の疑いで書類送検された。
警視庁によると、男性は2025年4月9日、マンション駐車場内や路上で、農薬入りのパンくずをまき、ハシブトガラス7羽に食べさせて死亡させた疑いがある。報道によると、男性はカラスの鳴き声に悩まされていたという。
この事件をめぐっては、SNSで「害鳥だから駆除していいと思っていた」「気持ちはわかるけど違法行為はダメ」といった声が広がっている。
実際、カラスはゴミを荒らしたり、子育てのシーズンには巣に近づいた人を威嚇したりするケースがあり、「害鳥」というイメージを持たれがちだ。
しかし、東京都自然環境部計画課の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「許可なくカラスを殺傷することは違法になります」と指摘する。
●罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」
「カラスは希少種ではありませんが、鳥獣保護法上、保護対象にあたる野生鳥獣です」
東京都の鳥獣保護管理担当者はこう説明する。鳥獣保護法8条は「鳥獣及び鳥類の卵は、捕獲等又は採取等(採取又は損傷をいう)をしてはならない」と定めており、カラスもその対象に含まれる。
今回、ハシブトガラスを死亡させたという男性も、この規定に違反した疑いで書類送検された。違反した場合の罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」で、決して軽いものではない。
●都内で激減しているカラス
東京都によると、2001年度には都内40カ所で約3万6000羽以上のカラスが生息していた。東京都は都市部を中心にゴミ対策や捕獲用トラップの設置に取り組み、その結果、2024年度には約7000羽まで減少したという。
これに伴い、2001年度には3700件を超えていた苦情や相談の件数も、2024年度には約92%減少している。
それでも「カラスに威嚇されて困っている」「カラスの巣を見つけたので撤去してほしい」「ゴミを荒らされて困っている」といったトラブルは絶えない。では、どう対応すればよいのだろうか。
●「困ったときは区市町村や都に相談を」
東京都の鳥獣保護管理担当者によると、カラスは繁殖期(3月下旬〜7月上旬)に巣を作り、ヒナを育てるため、近くを通る人を威嚇したり、攻撃したりすることがあるという。
そのため、できるだけ巣に近づかないことが望ましい。
やむを得ず通行する場合は、「傘などの棒状のものを肩にかつぐようにして、頭の上に上げるとよいでしょう。カラスは羽が接触するのを恐れて近寄りません。また、頭を保護するために帽子をかぶるのも有効です」(東京都公式サイト)とされている。
被害が出ている場合には、巣の撤去が必要になることもあるが、巣の場所によって管理者は異なる。
担当者は「道路や公園であればその管理者、電柱や送電線であれば東京電力など、依頼先が異なります。都内の場合は、東京都の公式サイトで確認していただければと思います」と説明する。
迷惑に感じられる存在であっても、カラスを勝手に駆除することは違法だ。
担当者は「カラス被害に悩んだときは、まず区市町村の窓口に相談してほしい。状況に応じて、適切な対応先につなぐことができます」と話している。