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「死刑なくてホッと」「不幸だから何をしてもいいわけではない」山上徹也氏の無期懲役判決、裁判員が明かした葛藤
安倍晋三元首相銃撃事件裁判の判決公判を終え、会見する裁判員=2026年1月21日午後4時34分、奈良市、代表撮影

「死刑なくてホッと」「不幸だから何をしてもいいわけではない」山上徹也氏の無期懲役判決、裁判員が明かした葛藤

安倍晋三元首相を銃殺したとして、殺人罪などに問われた山上徹也被告人(45)に対し、無期懲役の判決を言い渡した奈良地裁の裁判員裁判。

判決後、審理に加わった裁判員と補助裁判員が記者会見を開き、量刑判断をめぐる葛藤や、事件と向き合った重圧を明かした。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●裁判員6人と裁判官3人で審理された

裁判員裁判では、国民から選ばれた6人の裁判員が、裁判官3人とともに審理に加わり、量刑の判断まで関わる。

傍聴席で取材したジャーナリストなどによると、山上被告人の裁判では、当初は裁判員6人のうち女性が1人いたが、途中で交代し、判決時点では6人全員が男性だったという。

この日の会見には、裁判員をつとめた3人と、補助裁判員をつとめた2人(うち女性1人)が出席した。

●「不幸だから何をしてもいい世の中ではない」

会見ではまず、報道機関の代表質問として、山上被告人の印象について問われた。

裁判員をつとめた40代の男性は「非常に頭のいい人物だなと思いました。家族思いの部分がとても強い印象。家庭環境は、宗教2世として不遇な幼少期、青年期を送ってきたというのは強く思いました。そういった境遇がなければ、持ち前の頭の良さで大成されていた方なのかなと」と話した。

別の裁判員である30代男性は「真っ直ぐしか見られない人なんだろうと思います。妥協もできなかったのかなと思いました」と指摘。一方で「家庭環境が不遇であったことなどいろいろとわかったが、事件を起こしてしまうとなかなか同情できない状況もあるので、不幸だから何してもいいという世の中ではないと考えています」と述べた。

画像タイトル 安倍晋三元首相銃撃事件裁判の判決公判を終え、会見する裁判員=2026年1月21日午後4時34分、奈良市、代表撮影

補助裁判員として参加した50代の男性は「自分の言葉で発言されているというのがすごく印象的で、自分に不利になる証言でもちゃんと受け答えしていて、能力の高い人物だと思いました。なかなか僕らからでは想像つかないような辛い境遇を過ごしてきたと思っていますけど、高い能力を犯罪ではなく他の方法に生かしていればと残念に思いました」と語った。

●被害者が元首相「切り離して考えた」

被害者が、内閣総理大臣を長くつとめた安倍晋三氏だったことについても質問が出た。

裁判員の40代男性は「最初はすごく大きい事件だなと思いましたが、そこを考えると判断が間違えてしまいそうな気がしたので、1人の人が亡くなった、殺されたというふうに切り離して考えるようにしました」と語った。

裁判員の30代男性も「元首相が被害者というのを考えてしまうと、どうしても(余計な)ファクターが入ってしまうので、それを抜きにして考えました」と明かした。

画像タイトル 安倍晋三元首相銃撃事件裁判の判決公判を終え、会見する裁判員=2026年1月21日午後4時30分、奈良市、代表撮影

●「死刑がなくなり、ホッとした」

社会に衝撃を与えた事件で「死刑が求刑されるのではないか」といった関心も集まったが、量刑判断をめぐって、裁判員は率直に語った。

補助裁判員をつとめた女性は「経験がないので、死刑とか、そんなことを決められないという気持ちでした。無期懲役という部分もわからなくて、1人の人間の人生なので怖いと思いました」と吐露した。

裁判員の40代男性は「最高刑が死刑ということで、その可能性を含めて考えていかないといけないと、裁判員としてそれも責任だと思っていましたが、求刑の際に無期懲役ということで、死刑がなくなったので、少しホッとした自分がいたので、自分に対するストレス、プレッシャーは感じていたと思います」と振り返った。

補助裁判員の50代男性も「死刑に限らず、1人の人間の人生を決めるような立場になったので、すごいプレッシャーというか、自分の思っていることとかをみんなで話し合いました」と語った。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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