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「積雪や吹雪で移動困難」福島県弁護士会、弁護士と被疑者らのオンライン面談導入を求める
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「積雪や吹雪で移動困難」福島県弁護士会、弁護士と被疑者らのオンライン面談導入を求める

福島県弁護士会は6月2日、弁護人と被疑者・被告人とのオンライン接見を早期に実現するための法整備を求める決議を発表した。2月28日に国会提出された刑事訴訟法改正案にオンライン接見が盛り込まれなかったことを「遺憾」とし、被疑者・被告人の防御権保障の充実を訴えている。

改正法では、電磁的記録による令状の発付・執行や、映像・音声送受信による勾留質問・弁解録取の手続き、オンラインでの裁判所手続きへの出席などが可能となる一方、弁護人と被疑者間のオンライン接見は対象外とされた。福島県弁護士会は刑事手続きにおける情報通信技術活用の流れの中で、接見交通についても同様の効率化が必要だと主張している。

●「積雪や吹雪等によって移動自体が困難に」

決議では、被疑者等の勾留場所と弁護人の法律事務所との間に距離がある場合の問題を指摘。「特に福島県は、遠隔地に刑事施設等がある地域も多く、それに加え、冬期になれば積雪や吹雪等によって移動自体が困難となり、接見交通に重大な支障をきたすおそれが大きい」として、地理的条件による制約の深刻さを強調した。

オンライン接見については、弁護人が最寄りの刑事施設に赴き、設置された端末を用いて被疑者の所在する施設にアクセスする「アクセスポイント方式」を提案。

現在一部施設で行われている電話による外部交通のテレビ電話化では不十分だとし、「刑事施設等の職員が聴取し得る状況で行われており、弁護人等と被疑者等との間の会話について秘密が保障されているものではない」と批判している。

●「オンライン接見についてのみことさら経済的負担を問題視することは不合理」

設備や人員配置のコストを懸念する声に対しては、「改正法においては、令状をタブレット端末で示す方法のほか、検察庁にいる検察官が、刑事施設等にいる被疑者からオンラインで弁解録取を行う方法や、裁判所にいる裁判官が、同じく刑事施設等にいる被疑者に対しオンラインで勾留質問を行うことができるものとされている」と反論。

「オンライン接見についてのみことさら経済的負担を問題視することは不合理」として、オンライン接見を刑事訴訟法第39条1項に規定される権利として位置付けることで十分な予算措置が可能になるとの見解を示した。

同会は「対面による速やかな接見が重要であることは言うまでもないが、被疑者等の弁護人依頼権の保障を充実させるため、オンライン接見は、権利性を有する法律上の制度として整備され、国家予算を投じて運営されなければならない」として、早期の法整備を強く求めている。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

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