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ビッグモーター社員、客を装い営業妨害「おたくの査定キャンセルします」 競合他社が感じたヤバさ
関東地方にあるビッグモーターの店舗(2023年8月、弁護士ドットコム撮影)

ビッグモーター社員、客を装い営業妨害「おたくの査定キャンセルします」 競合他社が感じたヤバさ

自動車保険の不正請求問題が判明した中古車販売大手「ビッグモーター」について、7月25日の会見後も、内部を知る人たちからの告発が相次ぎ、報道をにぎわせている。

弁護士ドットコムニュースにも、実際に店前の植物を抜いた元社員のほか、多くの業界関係者から情報が寄せられている。

中でも目立つのは、売上のためなら手段を選ばない企業風土についての証言だ。和泉伸二新社長は会見で「いつしかお客さんの方ではなく、会社の方を向いて仕事をしていた」と反省の弁を述べた。その内実とは。

●あらゆる手を使って自社が買い取る

他社で買取営業をしている片岡さん(仮名)は、ビッグモーターに何度も営業妨害された経験があるという。客の名前を騙り、予定していた査定日時のアポを勝手にキャンセルしていたとみられる。

「お客さんに聞いたら『断りの電話を入れていません』と言われました。ビッグモーターの営業が自分の携帯から電話していたんです。別のお客さんのときも、同じ番号からキャンセルの電話があったそうです」

片岡さんは、車買取についての情報を収集する日本自動車購入協会(JPUC)に相談。JPUCには、同様の相談が寄せられているという。

元社員の古田さん(仮名)も「他社の買い取りが決まった後に、契約をご破算にさせようと、客の車に傷をつけてこいと上司から指示された」と証言する。

●車の部品を破壊「客に請求かけといて」

売上のためならば、客の車も平気で壊す。ビッグモーターで整備士をしていた高木さん(仮名)は、そんな上司のやり方に「ありえない」と嫌気が差して退職したと語る。

客に頼まれ、車検に出された車のエアコンを点検していたときのことだった。「工場長が電動ファンモーターを叩いて点検している最中に、ラジエーターという冷却機関の部品を破って壊してしまったんです」。

高木さんが「さすがにラジエーターは請求しませんよね?」と聞くと、工場長は「よく壊れるものだから、お客様にもともと壊れていた旨を説明して、請求かけといて」と指示した。平然と客に払わせようとする様子に、罪悪感は微塵もない様子だったという。

上司が客の車をわざと壊しているのを見たのは、一度や二度ではない。1台あたりの車検の単価を上げるためにブレーキオイルが漏れているように見せかけたり、ゴムブーツを故意に破ったりしていたという。

●前社長・兼重宏行氏が生み出した「文化」

1976年に山口県で創業したビッグモーター社。右肩上がりに事業を拡大していく時期に所属していた元工場長の千葉さん(仮名)は、前社長・兼重宏行氏について「ワンマンがすごかった」と振り返る。

「売上至上主義で社員の出入りが激しい。前社長は記者会見ですべて否定していましたが、社内間の連絡ツールで、社員に罵詈雑言を浴びせていました。だから役職者が皆真似して、部下に同じようなことをいう。前社長が生み出した文化ですよ」(千葉さん)

店前の街路樹を切るなどの問題点が指摘されている「環境整備」も、前社長の号令で約20年前から始まったという。月1回、タイミングは幹部の思いつきだった。

「ボーナス査定がかかっているし、みんな前日の夜遅くまで一生懸命掃除しました。でも重箱のすみをつつくような難癖をつけて、役員が喜んでいた」。敷地内で文句をつけられなくなった末に、道路の雑草まで注意するという異常なエスカレートの結果だったと嘆いた。

これらの声は、寄せられた情報の一部に過ぎない。次々と、明らかになる不正行為。膿を出し切ることはできるのだろうか。

●情報募集中

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