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えっ、高すぎる! 私道と気づかず走行、通行料「10万円」を請求された 支払わないとダメ?
画像はイメージです(tymaman / PIXTA)

えっ、高すぎる! 私道と気づかず走行、通行料「10万円」を請求された 支払わないとダメ?

私道と気が付かずに侵入してしまい、通行料を請求された。そのような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

配達員である相談者は仕事中に誤って、私道と知らず走行してしまったところ、所有者から「通行料として10万円支払え」と請求されました。

後日確認すると、私道の入口には通行料について明記された立て看板があったそうですが、運転席からは見えず、まったく気が付かなかったそうです。故意ではない場合も通行料を支払う必要はあるのでしょうか。本間久雄弁護士に聞きました。

●「10万円」は高すぎるのでは?

——今回、相談者は気づかずに走行してしまったそうですが、それでも支払う必要はあるのでしょうか?

一般人同士の間で金銭の支払義務が発生する場合は法律で限定されており、その多くの場合は契約(合意)に基づくものであり、契約に基づかない場合は事務管理・不当利得・不法行為があります。

今回の場合、立て看板にあるように「通行料として金10万円を支払う」という私道使用に関する契約が成立しているのかが問題となります。

契約とは、当事者間の意思表示が合致することをいいます。

意思表示が合致するためには、当事者が契約の内容を認識していることが必要です。本件の場合、相談者が立て看板を見落としていたことから、通行料として金10万円を支払うという契約が成立したとは言えません。

——もし仮に、相談者が看板を認識していた場合には、10万円を支払う必要はありましたか?

もし仮に認識していたとしても、通行料として金10万円は高額に過ぎ、暴利行為として公序良俗(民法90条)に反するため、通行料10万円を支払って私道を通行する旨の契約は無効となるでしょう。

ただ、相談者が私道を通行して利益(配達を完了できた)を得ていることは間違いない事実です。

この場合、不当利得(民法703条)として、相談者が私道所有者に対して、いくばくかの金員を支払う必要が出てきます。その場合、近隣の私道や有料道路の通行料を斟酌してその額を決めることになりますが、恐らく高くても数百円程度ではないかと思います。

プロフィール

本間 久雄
本間 久雄(ほんま ひさお)弁護士 横浜関内法律事務所
平成20年弁護士登録。東京大学法学部卒業・慶應義塾大学法科大学院卒業。宗教法人及び僧侶・寺族関係者に関する事件を多数取り扱う。著書に「弁護士実務に効く 判例にみる宗教法人の法律問題」(第一法規)などがある。

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