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それってズルくない? ひとり大酒飲んで「みんなで割り勘しよう」にモヤモヤ 弁護士の助言は
画像はイメージです(玄武 / PIXTA)

それってズルくない? ひとり大酒飲んで「みんなで割り勘しよう」にモヤモヤ 弁護士の助言は

コロナ禍でひっそりとしていた夜の街に、賑わいが戻ってきた。感染防止のため自粛してきた仕事関係者や友人知人らとの飲み会に出かける人も多いのだろう。それと同時に、飲み会「あるあるトラブル」もまた復活してきたようだ。

最近、学校の保護者たちと飲み会をした主婦・J子さんは、会計時にモヤモヤがあったと語る。

「大酒飲みのママ友がひとりいて、楽しいお酒でいいんですけど、彼女が『じゃあ会計は均等にワケよう!』と言い出したんですよね。料理はコース料理なので同じ金額ですが、お酒を飲まない人もいるのに、一人で何杯も焼酎や日本酒を飲み続けた彼女の分も負担しなければいけないんだ、と」

コロナ下の入学で、学校保護者との飲み会は初めてだった。そのため、角を立てるわけにもいかず、その場は全員、均等に割り勘をしたのだという。

J子さんは「ズルいなぁ、と心の中でモヤモヤが続いています。法律では、こういう時に解決してくれるルールってないんですか?」と編集部に尋ねた。西口竜司弁護士に聞いた。

●法的な解決策はあるのか?

——飲み会の割り勘をめぐるトラブルについて、「法的な解決策はありますか?」と質問が寄せられています。

飲み会での不公平感ってありますよね。特にお酒を飲まない人にとっては、自分が飲んでいない分まで支払うことになるので、不公平感が半端ないのもわかります。

ただ、「法的には均等に割り勘にしなければいけない」といった便利な法律はありません。

ただ法的に考えていくことはできます。まず、お店との関係で言えば、全員で飲食代金を支払わないといけません(連帯債務といいます)。

そして次にどんな分担をするか。話し合いで「割り勘にしよう」と、参加者が合意した上で支払うことは、法的に問題ありません。

では「割り勘はおかしい」と誰かが反論した場合、どう決めるのでしょうか。「割り勘はダメだから、全く支払わない」というのもおかしな話です。そこで円満に解決するためには、割り勘に反対している人については、「自分の飲食に応じた金額を払う」という方法があるでしょう。

揉めたからといって、実際に訴訟までは発展しないと思いますが……。ただし、このような問題が起こらないように、負担額については配慮した方がいいと思いますし、飲み過ぎる人は飲まない人のことも考えた方がいいですね。それが大人のマナーですかね。

●西口弁護士が幹事をする時、心がけることは?

——飲んでない人や少食の人が「損をした!」となりやすい割り勘トラブル。西口弁護士が注意していることはありますか? 

私自身は、幹事や会計をすることがよくありますが、飲む人と飲んでない人、始めから参加した人とそうでない人等で負担額を変えています。注文し過ぎる人には、笑いながら「ここから自腹ね」みたいなことを言っています。そういう意味では飲み放題、食べ放題は楽ですね。

コロナの規制も緩和されて楽しい飲み会も復活しました。それぞれがちょっとした配慮で上手くいくこともあります。楽しく飲みましょう。乾杯。いつも酒には完敗している私が言いました。

プロフィール

西口 竜司
西口 竜司(にしぐち りゅうじ)弁護士 神戸マリン綜合法律事務所
大阪府出身。法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。弁護士YouTuberとしても活動を開始している。今年からXリーグにも復帰した。

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