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バブルの高額プレゼント、結納倍返し、熟年離婚…男女トラブルには時代が色濃く反映  NHK長寿番組が伝えた家族の法律
(背景:yu_photo / PIXTA)

バブルの高額プレゼント、結納倍返し、熟年離婚…男女トラブルには時代が色濃く反映  NHK長寿番組が伝えた家族の法律

1985年の第1回の放送から、昭和・平成・令和と3つの時代にわたり毎週土曜日のお昼に放送されてきたTV番組「バラエティー生活笑百科」(NHK)が、2022年4月9日で37年間の歴史に幕を閉じた。

法律問題を考える構成作家として約34年間にわたり同番組に関わってきた筆者が、どのようにして番組が作られていたのか、インターネットが一般に普及していなかった時代の苦労なども含め振り返る。(放送作家・ライター/湯川真理子)

●いつの時代も「遺産相続」は興味津々

遺産相続は、番組では何度も手を替え品を替え登場し、これまで取り上げられたネタで一番多かったようだ。

遺言書だけでもトラブルの元になる。自筆で書く遺言書は、自分で書くこと、日付、署名、捺印がいること等は基本であるが、どんな印鑑でもいいし、封筒に入れる必要もない。チラシの裏に書いてはダメだとは書かれていない。

それだけに、こんな場合はどうなんだろうという疑問が多々生まれた。書店に行けば、遺言書や相続関連の雑誌や書籍が目につきやすいところにたくさん並んでいる今と違い、昭和の後半や平成の前半は、遺言書を作成するという人は少なかった。

もっとも、法務省の調査によると、55歳以上で自筆証書遺言を作成したことのある人は3.7%、公正証書遺言を作成したことのある人は3.1%となっており、今でもかなり少ない。ただ、興味はあるんです、これが。

最初は、ワープロでの遺言書、夫婦が2人で連名で書いた遺言書、2通出てきた遺言書、遺言書に書かれた財産がない場合、遺言書の中に書かれている相続人が先に亡くなっていた場合、すべて寄付するという内容の遺言書、日記に署名捺印している遺言書など、個人が自由に書けるだけに、様々な設定を取り上げた。

「鉛筆はあかんの?」 「消しゴムで消せるからあかんやろ」 「自筆ならあぶり出しの遺言書はどう?オレンジジュースで書いたやつ」 「あぶりだすときに燃えたらどうなる?」 「コピー代わりにカーボン紙を敷いて書いたものは?」 「手書きは手書きだけどなあ。印刷になる?」 「版画も自筆になる?プロの版画家の渾身の作品とか」

「どこまで行くねん!」というお叱り声もなく、あれやこれやと考えた。

40年ぶりに民法が大改正され、「配偶者居住権」や「特別寄与料請求権」など、新たな権利が生まれ、今までとは違うことが出てきた。

ワープロ(時代が古くて申し訳ない)やパソコンで書いた遺言書は無効だったのだが、民法の改正で、財産目録に限ってはパソコンでもいいということになったり、自筆遺言証書を法務局で保管してもらえることになった。

番組でも、あるはずの遺言書が行方不明で見つからなかったり、財産を分けた後に、遺言書が出てきたりなんてことも取り上げてきた。

また、相続財産が多いからトラブルになりやすいというわけでもないらしい。何億円という相続遺産がなくても、少額の遺産でもめるケースは実は非常に多く、かなり身近なトラブルだ。

●時代が反映される「男女トラブル」

男女間にまつわるトラブルは、もっとも時代を反映してきたように思う。円満なときは何ひとつ問題はないが、別れ際にしばしば発生するのが金銭問題だ。

バブルの頃は、男性から女性に高価な贈り物をすることが必ずしも珍しくなかった。クリスマスシーズンの高級ホテルは予約で満杯になり、高級ディナーを食べ、高価な贈り物をもらう。

今となってはどこからお金を工面していたのか不思議だし、割り勘が多い今のカップルには想像がつきにくいだろう。番組に登場するトラブルもそんなバブルの影響を受けた。

たとえば、若者同士の食事で、その内の一人がボトルで頼んだワインが3万円だったというケース。会計でその金額に驚いた一同は、「まさかそんなに高いものを」と大騒ぎ。割り勘のはずの食事だが、どうなるのか。飲んでいる以上、利益を得ているから払うのか、割り勘の約束だから払うのか、高すぎるから払わなくていいのか。バブルならではの設定だった。

男性が女性に贈った高価な贈り物でトラブルとなったというケースでは、男性は「彼女と結婚すると思っていたからダイヤの指輪をあげた。結婚する気がないのなら返してほしい」と主張。一方、女性は「一度も結婚するとは言っていない。誕生日だからもらった」と反論。

婚約うんぬんは男性の勝手な思い込みなので、一度、贈ったものは返してもらえないとも判断ができるが、2人で新婚旅行の話をしていたら婚約成立ともいえる等々、男女間のトラブルは解答がなかなかバラエティーに飛びかう。

もし婚約が成立していれば、指輪の返還だけでなく、慰謝料などの問題も出てくる。「高級でもネックレスやブレスレットなら婚約だと思わないが、指輪なら結婚を承諾したことになるのでは?」との意見も。男女間で意見の相違が生まれやすいものは面白かった。

男女の出会い方にも大きな変化がある。お見合いがまだ一般的で仲人がいることが珍しくなかった頃、縁談をまとめるために両方に受けのいいことをいう「仲人口(なこうどぐち)」は、法的にどうなのか、なんてことも考えた。

やがて、お見合いの設定は番組から姿を消し、友達の紹介、知人の紹介、さらにはネットでの出会いに変化する。

2000年に「ミレニアム婚」というワードが現れた時、ちょっとした結婚ブームだったが、この頃には、海外での結婚式やレストラン婚が増え、仲人はいなくなりつつあった。

2008年頃から「婚活」という言葉が盛んに使われだし、同年には流行語大賞にノミネートされている。今ではすっかり定着し、コロナ禍以前は、婚活パーティーが盛んに行われていた。最近は、婚活アプリで出会って結婚という話も珍しくなくなってきた。

●隠さなくなった「離婚歴」、きっかけはあの芸人?

1990年代初頭にバブルがはじけると、婚約、結婚、離婚の状況も変わった。今では「結納」という言葉もほとんど耳にしなくなった。法律的には何の根拠もないが、当時は「結納倍返し」(=男性からもらった結納金の倍以上を女性側が結納返しする)をしなければいけないと信じている女性も結構いた。

今は市民権を得ている「バツイチ」という言葉が急速に浸透したのもその頃だ。1992年秋、明石家さんまさんが離婚に関する記者会見で「額に『×』を記した」のがきっかけでどんどん浸透し、同時に「離婚は隠すもの」という風潮が薄らいだ気がする。

おかげさまで(?)、番組でも離婚や子連れ再婚をあまり深刻な状態にならずに取り上げることができた。それまでは離婚を番組で取り扱うときにはゲストの離婚歴などを少し気にしたりしたものだ。

それから約30年が経ち、令和の時代になって離婚率が増加しているかというと、実はそうでもない。2002年までは増加していたが、それ以降は離婚件数も離婚率も減少。近年は1990年代前半とさほど変わらない数値となっている。

その反面、熟年離婚は増え続けている。「熟年離婚」という言葉も1900年代後半から中高年齢層の離婚がメディアで取り上げられるようになり、頻繁に使われだした。

長い間、我慢に我慢を重ねた女性側が離婚を切り出すことの多い熟年離婚。年金はどうなるのか。夫がサラリーマンの場合、退職金はどうなるのか。貯金やへそくりの扱いなど、とにかく財産にまつわる問題が多く、番組でも頻繁に取り上げた。

長年我慢してきた女性がいきなり離婚を切り出す、田舎暮らしをしたいという夫に対し自分は友達も趣味もあるから付いていけない、家にずっといる夫に見切りをつけた等々。女性側から切り出すという設定が多かったのは筆者が女性だったからか、どうしても離婚は女性側の味方になってしまった。

(この連載は不定期更新です。続きは後日掲載します)

【筆者プロフィール】湯川 真理子(ゆかわ まりこ):和歌山県田辺市出身。大阪府在住。放送作家・ライター。バラエティー、情報番組、音楽番組、ドキュメンタリー等、幅広いジャンルのテレビ番組に関わる。著書『宝は農村にあり 農業を繋ぐ人たち』(西日本出版社)。

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